私は理学療法士として働いています。
- このまま理学療法士としてずっと働き続けていけるのか…?
- これから仕事は残っていくのか…?
- 将来性はあるのか?
そんなことを思う日もあります。
理学療法士はAIに代わってしまうとか、将来性が無いとかいろいろ言われていますよね。
すでに理学療法士として働いている我々も厳しい将来のビジョンを突きつけられています。
将来的に生き残る為にはどうするか?
選ばれる理学療法士と、切り離される理学療法士はどう違うのか?
理学療法士に将来性はあるのか?
実際に理学療法士として働いている視点から話をしていきます。
【理学療法士の将来性】今後の需要はあるのか?
理学療法士は令和2年に18万人を越えました。
そんな理学療法士がたくさんいる中で、一人ひとりの療法士の質が求められている時代に移り変わってきています。
今までのように何も考えずに効果の出ない治療を行っていく理学療法士は確実に淘汰されていくでしょう。
しかし、技術や知識は理学療法士として重要なものですが、技術や知識だけでは生きていけない時代です。
これからの需要の考え方は『理学療法士の需要の有無』でなく『あなたの需要』になってきます。
理学療法士は間違いなく需要はありますが、あなたに需要があるかは全くの別問題だ、という事を念頭に読み進めてください。
理学療法士の必要性
今後、理学療法士の需要はあるか?と聞かれると、間違いなく需要はあります。
しかし、理学療法士が増えすぎているので『あなたに需要があるか?』と言うと別問題。
現在、理学療法士が必要とされている人数は12万人と言われています。
しかし、すでに18万人も理学療法士の資格を持っているので、その中から12万人のなかに選ばれるのは至難の業です。
▽合わせて読みたい▽
これからの理学療法士としての活躍の場は病院から
- 老健
- 訪問
- 予防
の分野に移行していきます。
病院業務にしがみついている理学療法士にとって、将来性や必要性は低いと考えられますね。
【理学療法士の将来性】どうすればPTとして生き残れるか?
理学療法士として生き残るために必要なのは
- 柔軟性
- 自己研磨
- 指導力
- マーケティング力
この4つです。
柔軟性
理学療法士としてこれからも働いていくには、世の中の変化についていかなければなりません。
- 古い考えのセラピスト
- 考えを変えないセラピスト
- 変化を嫌うセラピスト
このようなセラピストはこれから生き残っていくのは難しいかもしれません。
例えば、診療報酬改定が2年ごとにありますが、その内容を大まかでも知っていますか?
学校で使っている参考書が改訂されていますが、改訂された内容を知っていますか?
世の中の変化に柔軟に対応できないとこれから生き残っていくのは難しいです。
自己研磨
理学療法士としてこれからも働いていくには、自己研磨し続けることが必要です。
知識・技術の研磨はもちろん、人間性やビジネスマナーなど内面的な研磨も必要。
- 知識と技術があるけどツマらないセラピスト
- 知識と技術はそこそこで明るく楽しいセラピスト
これから選ばれていくのは『2』のセラピストです。
自分磨きをしていきましょう。
知識・技術を磨くのであれば資格を取るのがおすすめ。
このあたりは持っておいて損はないと思います。
また、転職をして新しい分野の知識と経験を手に入れるのもいいですね。
私は転職をすることで
- 整形外科(外来)
- 生活期
- 回復期
- 訪問
を経験してきました。
こういったスキルの幅は、今後役に立つでしょう。
▽転職を考えている方はこちら▽
指導力
理学療法士としてこれからも働いていくには、指導力が重要です。
どうしても現場レベルでは『1日24単位・週108単位』という決まりがあるので、病院からすると新人でもベテランでも入ってくるお金は同じということになります。
そうすると、高いお金を支払っているベテランは不要です。
つまり、ベテランは『単位以外の+α』がないと新人に仕事を奪われていく事になります。
で、ベテランにできて新人に出来ないことといえば『指導・教育』なんです。
後輩育成ができる理学療法士はこれから先も重宝されていきます。
学生を拒んだり、教育を嫌がっている理学療法士は将来厳しいでしょうね。
マーケティング力
理学療法士としてこれからも働いていくには、マーケティング力が重要です。
マーケティングとは『企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である』
と日本マーケティング協会で定義されています。
どういうことか?というと『儲け続ける仕組み・働き続ける仕組みを作ること』と思っていただければOK。
もちろん、病院の収益増加に向けPDCAサイクルを回したり業務改善をしたりするのもいいでしょう。
また、スタッフの入れ替わりが激しい職場は、どうしたら人材の流出を防げるのか?という考えに注力してもいいですね。
こういう考えが持てる理学療法士は、今後も求め続けられるでしょう。
【理学療法士の将来性】お金で考えてみる
理学療法士の将来性で気になるのは『生活していけるだけのお金を貰えるのか?』という所。
20218年の段階で理学療法士の平均年収は408万円です。
- 平均年齢:32.9歳
- 勤続年数:6.1年
- 労働時間:163時間/月
- 超過労働:6時間/月
- 月額給与:285,200円
- 年間賞与:662,200円
- 平均年収:4,084,600円
理学療法士の年収に関してはこちらの記事をご参照ください。
年収408万円では、配偶者と子供1人を養うには少し物足りないです。
基本的に配偶者にも仕事をしてもらい、共働きになることになるでしょう。
もちろん、私の家庭も共働きです。
また、理学療法士として出世しても、そこまで大きな年収アップにはつながりません。
- 主任で年収500万円
- 係長で年収580万円
- 課長で年収650万円
この辺りが限界だと思います。
退職金もリハビリ職は少ないのが現状。
40年勤務して大体300万円前後というのが多いようですので、退職金で第二の人生を…という考えは危険です。
詳しくはこちらの記事をどうぞ
つまり、お金だけで考えると理学療法士の将来性はそこまで高くないと言えます。
どうとらえるかはあなた次第ですが…。
私の考えでは、どんな仕事でも自分が積極的に動かなきゃ何も変わらないんじゃない?と思っています。
だから
- 柔軟性
- 自己研磨
- 指導力
- マーケティング力
を磨いて、将来的に生き残れる理学療法士になろうと思っています。
これが出来なければ、どの職種に就いたとしても淘汰されていくと思いますよ。
【理学療法士の10年後】客観的に考察してみる
2013年
英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授の論文「雇用の未来」米国労働省のデータに基づいて、702の職種が今後どれだけコンピューター技術によって自動化されるかを分析した結果、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論に至った。機械によって取って代わられる仕事は多岐にわたる。
【講談社】
という記事があります。
また、googleからもグーグルCEO、「20年後には、嫌だと思っても現在の仕事のほとんどが機会によって代行される」と発表しています。
【参考】
今後、人類のIT革命により、人間がやってきた仕事の一部がロボットに入れ替わるでしょう。
というものです。
10年後にロボットに入れ替わる仕事とは?
2013年の段階で、10~20年後にロボットに変わっていくだろうと見られている仕事が以下の通りです。
- 銀行の融資担当者
- スポーツの審判
- 不動産ブローカー
- レストランの案内係
- 保険の審査担当者
- 動物のブリーダー
- 電話オペレーター
- 給与・福利厚生担当者
- レジ係
- 娯楽施設の案内係、チケットもぎり係
- カジノのディーラー
- ネイリスト
- クレジットカード申込者の承認・調査を行う作業員
- 集金人
- パラリーガル、弁護士助手
- ホテルの受付係
- 電話販売員
- 仕立屋(手縫い)
- 時計修理工
- 税務申告書代行者
- 図書館員の補助員
- データ入力作業員
- 彫刻師
- 苦情の処理・調査担当者
- 薄記、会計、監査の事務員
- 検査、分類、見本採集、測定を行う作業員
- 映写技師
- カメラ、撮影機材の修理工
- 金融機関のクレジットアナリスト
- メガネ、コンタクトレンズの技術者
- 殺虫剤の混合、散布の技術者
- 義歯制作技術者
- 測量技術者、地図作成技術者
- 造園・用地管理の作業員
- 建設機器のオペレーター
- 訪問販売員、路上新聞売り、露店商人
- 塗装工、壁紙張り職人
だそうです。
なんかピンとこないけど、これらはロボットやコンピューターに入れ替わることで淘汰されていくとの予測が立っているのです。
よく見ると技術職が多くないですか?
修理屋とか技術者とか。
そう、これからは手に職を持った技術者でさえ、ロボットの精密さや正確さ、速度についていけないため職を失う恐れがあるのです。
とりあえず、ここに理学療法士は入っていないようですね。
10年後も生き残る仕事とは
その反対に、10年後もロボットに変わることの無い職業もあります。
- レクリエーションセラピスト
- 最前線のメカニック、修理工
- 緊急事態の管理監督者
- メンタルヘルスと薬物利用者サポート
- 聴覚医療従事者(ST)
- 作業療法士(OT)
- 義肢装具士
- ヘルスケアソーシャルワーカー
- 口腔外科
- 消防監督者
- 栄養士
- 施設管理者
- 振り付け師
- セールスエンジニア(技術営業)
- 内科医と外科医
- 指導(教育)コーディネーター
- 心理学者
- 警察と探偵
- 歯科医師
- 小学校教員
いかがでしょうか。
これらは確かにロボットには代替えしにくいようなものですよね。
そして、もう気づいている人も多いと思いますが、この中に理学療法士の文字はありません。
作業療法士と聴覚医療従事者(言語聴覚士)は入っているのに…。
理学療法士は10年後に淘汰されるという訳ではないですが、必ずしも大丈夫だ!というわけではなさそうです。
将来が不安な理学療法士へ
理学療法士でで定年まで働くというのは決して楽ではありません。
収入も増えにくいですし、仕事の内容もドンドン変わっていきます。
しかし、誇れる仕事であることは間違いありません。
だからこそ、努力が必要。
- 柔軟性
- 自己研磨
- 指導力
- マーケティング力
努力ができない人、変化ができない人はどの業界でも大きく飛躍することは不可能ですよ。
『理学療法士は将来性はあるの?』でなく『私のの将来性はあるの?』と言葉を置き換えてください。
需要のある理学療法士を目指し、選ばれる理学療法士に慣れるよう、共に一層の努力をしていきましょう。