理学療法士の仕事の1つとして、リハビリ情報提供書(リハビリテーションサマリー)があります。
理学療法の経過を書いて、次の施設に申し送る書類なのですが、情報提供書の書き方がきちんとできていない理学療法士が多いです。
次の施設で「この理学療法士ダメだな」と思われないように、キチンとした情報提供書を作成できるようにしていきたいですね。
今回は、情報提供書の書き方を、テンプレートにしてお伝えします。
書式は、各病院で異なっていると思うので、その様式に合わせて落とし込んで行ってください。
リハビリ情報提供書って何を書けば良いの?
- 経過
- 入院時情報
- 機能情報
- 患者の性格・介入時のコツ
- 今後の展望・ゴール
上記の流れで書いていくのが分かりやすく、一般的です。
経過
いつ、どのように受傷し、どんな手術をしたのか、既往歴はあるのか記載していきます。
受傷機転は、再発予防に役立ちますし、術式は今後のリハの方針に役立ちます。
次の病院にレントゲン等のデータが行かない場合もあるので、簡単に記載しておけば次の理学療法士がある程度読み取ってくれます。
入院時情報
入院時の初期情報を簡単に記載します。
「入院当初は…」という書き出しで2~3行程度にまとめられるといいですね。
機能情報
身体機能の推移や、離床・歩行・ADLの内容を記載していきます。
これらは、患者の回復状況を知るうえでとても重要な情報です。
絶対に必要なのが安静度と使用補助具です。
離床時期・荷重時期・車いすの種類・杖の種類などもここで記載しておきましょう。
患者の性格・介入時のコツ
患者の性格や、介入時のポイントなどは絶対に欲しい情報です。
怒りやすい・時間に厳しい・あまりしゃべらない・囲碁が好き・リハに意欲的などの情報は次のスタッフにとって非常に有益な情報です。
特に高次脳機能障害がある場合、円滑に介入するためにどんなことをしていたかという記載があると非常に助かります。
今後の展望・ゴール
今後、どこまでリハビリで回復しそうか?また、どこを目指してリハビリを進めていたのかを記載します。
ある程度のゴール設定はしているとおもうので、それを共有しないと患者本人が混乱する可能性があります。
リハサマリーのテンプレート
〇〇病院 担当者様 各位
経過〇年〇月〇日に自宅で夜中にトイレに行こうとして転倒し、右大腿骨頸部骨折をした80歳の女性です。〇月〇日に人工骨頭置換術を行い、翌日から離床開始、〇月〇日から全荷重可能の指示が出ています。
入院時情報入院当初より痛みは強く、股関節の可動域も80度程度であり、車いすに乗るのが精いっぱいでした。しかしリハ意欲は高く、その間は移乗動作練習を中心に行い、車いすで居室内自立しています。
機能情報その後痛みが軽減し、術後7日でようやく歩行練習を開始できました。平行棒内から開始し、現在は4点杖で50m程度歩行できています。股関節の可動域も110度まで改善し、荷重量も当初は20kg(体重55kg)程度でしたが現在は50kgまで荷重できるようになりました。ADLは居室内4点杖で自立、終日トイレも自立していますが、歩行距離はまだ短いため病棟内は車いすを使用しています。入浴は中間浴です。
患者の性格・介入時のコツリハビリに積極的なので、リハビリ時間をお伝えすると準備してお待ちしています。少し遅れることを嫌がるので時間に注意が必要です。また、軽度の難聴があるので右側から声掛けをすると聞き取りやすいようです。その他特に問題となる行動は見られておりません。
今後の展望・ゴール今後は、自宅に戻って家事・炊事を行う事を希望されています。娘さんが同居していますが、日中は仕事で家を空けるためある程度の自立度が必要になると思われます。まだ術後〇週なので、今後も身体機能は向上していくと予想されます。ご本人の希望を叶えるべく、出来る限りのリハビリテーションを提供し、ADL向上の機会を設けて頂けると幸いです。
簡単ではございますが、よろしくお願い申し上げます。
ご不明点があれば、下記までご連絡ください。
○○病院 リハビリテーション科 理学療法士 〇〇
こんな流れで書けると良いと思います。
リハビリ情報提供書を書く時の注意点
宛先が誰か?考える
まずサマリーが誰に向けての物なのかを確認すべきです。
- リハスタッフ
- ケアマネ
- 介護施設
相手によって必要な情報が異なります。
例えば、ケアマネ宛てなのに、『今後は屋外歩行練習を実施してください』など、リハビリテーションプログラムを記載してもあまり意味はないですよね。
ケアマネ宛てなら『今後は通所リハビリテーション等で運動を継続していただけるようお願いいたします』と書くべきです。
言葉のチョイスに気を付ける
相手が医療者でも、専門用語が分からないことが多々あります。
医師ですら、バーグバランススケールを知らない方もいますし、私たちも医師や看護師にとって当たり前の言葉を知らない事もあります。
専門用語やテクニック的なことは、相手に伝わるかどうかよく考えてチョイスしましょう。
当然、ケアマネはリハビリ用語なんてほとんど分からないと思うので、よく配慮する必要があります。
宛先の書き方・御机下・御待史
宛先は正式名称を書きます。
『老健 ケアマネ ○○様』ではなく『介護老人保健施設 ○○の里 介護支援専門員〇〇様』と書きます。
また、宛名に『御机下』『御待史』とつける場合もあります。
私はいつも「御机下(おんきか/ごきか)」とつけています。
意味は『手紙を先生の机の上に置くことは、私には恐れ多くてとてもできません。そのため、あえて机の下に置かせていただきます。』という謙遜の意味です。
まとめ:リハビリ情報提供書(リハサマリー)の書き方
リハビリ情報提供書(リハサマリー)の書き方はなんとなくわかったでしょうか?
テンプレートを用意しておけば、ある程度の疾患には対応できます。
そして、数をこなして慣れることも重要です。
もちろん、ダラダラと長く記載しても読むほうも大変なので、簡潔に必要な事項だけを記載できると良いですね。