【保存版】物理療法の適応や禁忌を解説!温熱・寒冷療法3種の覚え方

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物理療法は整形外科で働く人には必須です。

物理療法を覚えていない人は、整形外科で働く資格はない、といっても過言ではないです。

 

学生さん

整形外科で働くには物理療法を覚えなきゃ!
でもあんまり勉強してこなかったからわかりやすく解説してほしいな…。

 

【この記事がおすすめな人】

    • ホットパック、極超短波、寒冷療法の適応禁忌がすぐに知りたい!
    • 人工関節への影響や特徴ってあるの?
    • 物理療法を簡単に説明してほしい!

 

このようなお悩みをお持ちの方に分かりやすく解説しています。

ぼくは学生のころから物理療法は得意でしたが、物理療法の勉強を疎かにしている理学療法士が多いです。

 

物理療法は運動療法では出せない効果を発揮し、患者からのニーズも高いのも特徴。

特に、病院や整形外科クリニックで働く人にとって、物理療法はかなり使用頻度が高いので、ここでいったん知識を整理しておきましょう。

理学療法士が整形外科クリニックで働くならこれくらい身に付けておけ
整形外科クリニックで理学療法士が働くために重要な知識と技術について解説しています。将来性のあるクリニックでの仕事を考えてみてはいかがでしょうか。

 

【合わせて読みたい物療】

 

物理療法を実施/変更する場合は必ず医師に相談しましょう

 

ホットパックの使い方と効果(適応と禁忌)


ホットパックは臨床現場で最もポピュラーな物理療法ですね。

80度前後のお湯で温めたゲルの入った袋を取り出し、タオルに包んで患部に当てます。

 

ゲルは熱の保温が良い上にタオルで包むのでかなり長い間熱は逃げません。

患部に当てると皮膚温度は約45度まで上昇。

 

当てている時間は10~15分間で、皮膚の10mm程度深いところまでしか温まらないという特徴があります。

ホットパックの大きな特徴は人工関節挿入部にも使用可能!

ホットパックの効果は

  • 血管拡張作用
  • 代謝の亢進
  • 軟部組織の伸張性向上
  • 疼痛閾値の低下

 

そして、皮膚の10mm程度までしか温まらないという特性上、人工関節挿入部にも使用できます。

もちろん、術後早期で術創部に炎症があったり、出血していたら使用できませんが、後述するマイクロ波は人工関節に使えませんのでぜひ覚えておきたい特徴ですね!

 

ホットパックが禁忌となる疾患や症状

ホットパックの禁忌はわかりやすく言うと冷やさなきゃいけない怪我に使用してはいけないということ。

ヤケドしたのに温める人はいませんよね?

捻挫をした時も、普通は冷やすはずです。

 

【禁忌】

  • 出血部位への実施:血管拡張作用により、出血を助長します。
  • 急性炎症への実施:ケガをしてすぐに温めると炎症が悪化します。
  • 知覚障害のある方:熱さが分からず、熱傷になる恐れがあります。
  • 循環障害のある方:心臓への負担増大や、循環不良部の細胞破壊を招く恐れがあります。
  • 悪性腫瘍のある方:悪性腫瘍の分裂を亢進する恐れがあります。
  • 熱発、肺炎の方:温める事で悪化する恐れがあります。
  • 貧血、低血圧の方:脳血流量の低下により、悪化を招く恐れがあります。

 

なんとなくイメージが付きますか?

温める事で悪化する事は避けましょう。

 

ホットパックの注意点

ホットパックを使用中に痛みが出た場合はすぐに使用を中止し、しばらく時間を置きます。

温めた部位を視診・触診し、熱感や発赤の有無を確認しましょう。

皮膚の表面にピリピリした痛みがある場合は低温やけどを疑い、すぐに医師に報告しましょう。

 

ホットパックが適応となる疾患や症状

ホットパックの適応は温める事で身体に良い影響を与えるものです。

 

【適応】

  • 慢性疼痛:温める事で疼痛閾値が上がり、痛みを感じにくくなります。
  • 筋緊張亢進部:血流を増大させ、筋の硬さをほぐします。
  • 高ストレス:温熱によるリラクゼーション効果が狙えます。
  • 糖尿病:神経症のない糖尿病に温熱の代謝作用が有効です。
  • 関節拘縮:軟部組織性の拘縮に効果を発揮します。

 

ホットパックはかなり効果の高い物理療法と言えます。

特に筋が原因での疼痛によく効き、心因性疼痛にも効果を発揮します。

私が最も信頼している物理療法ですね。

 

自宅で温めたい場合は、電子レンジでホットパックを作るものがお勧めです。

かなり長い時間保温できますので、慢性的な筋筋膜性疼痛の方に提案してあげましょう。

 

もちろん、ホットパック器具がないリハビリ施設を運営している方も、電子レンジがあれば使用できますので非常に使い勝手が良いです。

 

極超短波/マイクロ波の使い方と効果(適応と禁忌)

極超短波は整形外科などで多く使用され、主に『マイクロ』と呼ばれる温熱機器です。

ホットパックと同じような効果を与えますが、その特徴は何と言っても『深部まで温められる』ということです。

 

ホットパックはせいぜい皮下組織の数mm程度までの温熱作用なのに対し、マイクロは更に奥まで温める事が可能。その深さはなんと4~5cmと言われています。

その為、筋硬結や関節拘縮などの障害に対し、効率よく軟部組織の柔軟性を高める事が可能です。

 

マイクロ波は深いところまで温める!ゆえに人工関節には使用不可!

  • 血管拡張作用
  • 代謝の亢進
  • 軟部組織の伸張性向上
  • 疼痛閾値の低下

※ホットパックと同じ効果ですが、その特性として深部まで温める事が可能。

 

マイクロ波は体の深部まで温めることができるので、人工関節の金属部も加熱させてしまいます。

軟部組織変性の恐れがあるので、人工関節患者には絶対に照射しないようにしましょう。

 

 

マイクロが禁忌となる疾患や症状

マイクロは電磁波ですので、金属に照射できません。

金属のある部分に当てると、火傷やただれなどの原因となりますので絶対に当ててはいけません

 

主にホットパックと同じですが、マイクロ波はホットパックと異なる禁忌があります。

 

【禁忌】

  • 金属挿入部:火傷の恐れ。人工骨頭や人工関節などはNG!
  • ースメーカー使用者:ペースメーカーの故障の原因となる可能性。
  • 妊婦:胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 眼球・睾丸:失明や機能障害の恐れがあります。
  • 湿布などを貼った場所:火傷の恐れがあります。

 

以上の方に温熱をする場合は、必ずホットパックを使用し、マイクロは使用しないようにしましょう。

 

マイクロの注意点

湿布やエレキバンなどもNGですが、気を付けなければならないのはアクセサリーや服の材質です。

肩に照射する場合は、ネックレスを外しましょう。

また、服にラメやスパンコールが使われている場合は、最悪の場合燃えますので、絶対に使用しないでください。

 

マイクロが適応となる疾患や症状

こちらもホットパックと同じです。

しかし、深い部分の痛みに適応するので、使用できる疾患のにも特徴があります。

 

【適応】

  • 脊柱起立筋由来の腰痛症
  • 回旋筋腱板の痛み(棘上筋炎など)
  • 変形性関節症の痛み
  • 関節構成体(靭帯など)が原因の関節拘縮

 

上記疾患の場合、ホットパックよりマイクロ波の方が効果があります。

特に関節拘縮の場合は、ホットパックより効果があるのでおすすめです。

 

寒冷療法器具(伝道冷却法)の使い方と効果(適応と禁忌)


寒冷療法は患部を冷やす事で血管を収縮させ、血流を抑制することで痛みを軽減したり、神経伝達を抑制したりします。

よく使われているのがスポーツ現場であり、ケガをしたらすぐに冷やすことで悪化を防いでいます。

また、スポーツ後も患部を冷やす事で炎症を抑え、疲労物質(乳酸)を抑制したりもします。

 

術後早期の炎症反応や、変形性膝関節症の熱感、関節リウマチ患者などに使用されることがありますが、使用頻度はホットパックの半分以下だと思います。

しかし、寒冷療法も使い方によってはものすごい効果を発揮しますので、ぜひ覚えていてください。

 

寒冷療法は冷やすけど温まる?

寒冷療法の効果は以下の通り。

  • 神経伝達の抑制
  • 疼痛閾値の上昇
  • 血流の増大
  • 体温の上昇

 

冷やすのに血流が増大?体温が上昇?と思われるかもしれませんが、冷やした後は相反作用が働き、血管は拡張します。

冷やした後の体温は上昇するので、ある意味寒冷療法は温熱療法でもあると言えるかもしれません。

実施時間は3~7分程度で、温熱療法より短めが基本です。

 

寒冷療法が禁忌となる疾患や症状

冷やすと悪化する場合は、禁忌となります。

 

【禁忌】

  • 心疾患:心臓への負担が増大します。
  • 呼吸器疾患:体温が下がると呼吸がしにくくなります。
  • 重度の感覚障害:冷たさが分からず、凍傷のリスクがあります。
  • 循環器障害:レイノー病などで手足が常に冷たい方
  • 出血傾向:血管拡張作用による出血を助長します。
  • 関節拘縮:冷やす事で軟部組織の柔軟性が低下します。

 

『冷たい』という感覚は『熱い』という感覚より鋭く、冷たいものにずっと触っていると痛みを感じてきます。

氷水に手を入れている状況を考えれば分かりますね。

あの状態が3分~7分も続くので、寒冷療法は患者にとってあまり気持ちの良いものではありません。

 

寒冷療法の注意点

寒冷療法はただ冷やせばよいというものではありません。

しっかりと冷やす部位や血管の走行、炎症の程度を見極め実施しましょう。

寒冷療法による過冷却に注意し、凍傷を起こさせないようにすることと、高齢者や子供など、うまく自分の思い(冷たい・痛いなど)などを伝えられない方には注意しながら実施します。

 

寒冷療法が適応となる疾患や症状

冷やす事で、生体反応は抑制方向に働いていきます。

つまり、何かを抑制したいときに使用すると効果が高いと考えられます。

 

【適応】

  • 炎症初期:炎症症状の進行を抑制する
  • 筋緊張亢進部:刺激伝達が遅くなるため、筋緊張は抑制方向に働く
  • 痙縮:同上。伸張反射を抑制する。

 

主に炎症の抑制に使用されますが、臨床現場では麻痺や筋スパズムからくる筋緊張や痙縮の抑制にも効果を期待して使用する場合もあります。

あくまで局所冷却が目的ですので、その他の部位はあまり露出したり冷やさないようにしましょう。

 

寒冷療法器具は持ち運びができたり、冷凍庫に入れているだけで使えるものも多いので、ひとつくらい準備しておくといいですね。

特に激しい運動をする場合、運動後にクーリングをすると筋疲労の物質の発生を70%近く抑えられるというデータもあるようです。

ぜひ、ご活用ください。

 

【冷凍庫に入れて使うもの】

 

【患部に吹きかけて使うもの】

 

 

まとめ:物理療法の基礎は温熱!しっかり覚えておこう

  • ホットパック
  • 極超短波(マイクロ)
  • 寒冷療法

 

これはどこの病院でも使っている(もしくはどこの病院にもある)物理療法だと思います。

たかが物理療法、されど物理療法。

しっかりと物理療法を学んでいくことも理学療法士として必要案スキルだと思います。

 

特に、禁忌を覚えておかないと自己のもとになりますし、訴訟問題に発展するケースも少なくありません。

知識は自分の身を守るためにも必要です!

 

その他の物治療法に関しては以下の記事をご確認ください。

 

【牽引療法/バイブラ/ウォーターベッド】

【保存版】腰椎(頸椎)牽引とバイブラバス、ウォーターベッドの適応や禁忌の覚え方
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