この記事はサイトの運営者の転職体験談です。
25歳で理学療法士免許を取り、就職してから3年目に転職するまでの『生活の悲惨さ』と『葛藤』と『転職後の喜び』を表現しています。
転職を決めるまでの流れと、転職をした時の方法などをご紹介しています。
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理学療法士が職場の退職を決意する理由5つ
肉体労働で身体的に辛い
理学療法士は華やかな仕事ではありません。
患者さんの身体を持ち上げるなど身体的につらいことが多いので、理学療法士の事を「白衣のドカタ」なんて呼ぶこともあります。
もちろん職場によってその肉体疲労度は異なりますが、かなり疲れる仕事であることは間違いありません。
私が転職を考えたのは、この「身体的理由」も1つの原因だったことに間違いありません。
- 中腰の作業が多く、腰痛が出てきた
- トイレ介助などやりたくない仕事があった
- 患者が不潔だった
という理由です。
中腰の作業が多く、腰痛が出てきた
理学療法士は施術中、無理な姿勢でいることが多いので腰を痛めます。
また、移乗動作で全介助の患者の対応をすると、腰痛が悪化します。
ツラかったですし、今も辛いです。
トイレ介助などやりたくない仕事があった
理学療法士だからといってリハビリだけしていればいいわけでなく、患者をトイレに連れて行ったり、場合によってはシモの世話(おむつ交換やパット交換)があります。
正直、他人のシモの世話はしたくありません。
患者が不潔だった
高齢者は面倒くさがってお風呂に入らない方が多いです。
粉を吹いた皮膚で、洋服に白い皮膚の粉が沢山ついていたり、部屋も掃除していないのか洋服に小さな虫が沢山ついていたり…
凄くイヤでした。
仕事が忙しいくせに給料が低い
理学療法士は1単位20分で働き、1日マックスで24単位・週に108単位まで取ることが出来ます。
通常、理学療法士は1日18単位を基本に業務に当たります。
これは厚生労働省の第7部 リハビリテーション通則≫でも明言されていることです。
当時、私は外来を担当していましたが、1日の取得単位数は22単位以上でした。
週休2.5日だったので週108単位は超えないので、毎日がめちゃくちゃ忙しかったです。
1人の患者をやったら次の患者。
評価もクソもありません。
それに加えて、報告書や計画書、サマリーにカルテにカンファレンスなど今考えてもよくできてたなと思うほどの忙しさ。
病院の運営は9時~19時(休憩2時間)だったので、昼休みに仕事をしたり30~60分のサービス残業は当たり前。帰宅するのは21時近くなっていました。
しかも9時に診療開始のくせに、8時半に行かされて掃除や朝礼をさせられる始末。
そんなに働いて手取りはたったの21万円です。
仕事が忙しいくせに給料は低いんです。
ツラかったです。
ほとんど昇給しない
一般的なサラリーマンは毎年4月に昇給があります。
経団連が2021年7月30日に発表したデータによると、2021年の大手企業の平均昇給率は1.84%だそう。
つまり基本給20万円なら3,680円昇給する計算です。
私の1年目の昇給はありませんでした。(0円です)
2年目の昇給は500円でした。
ほとんど昇給しません。
ツラかったです。
職場の雰囲気が良くない
理学療法士の職場は多くの職種が混在する病院です。
理学療法士同士は仲が良くても、看護師との関係性が悪かったりします。
そういう職場は結構多いんです。
当時私が勤めていた病院はワンマン経営+家族経営でした。
- 理事長
- 理事長の嫁が事務責任者
- 理事長の息子①(医師)が院長
- 理事長の息子②(理学療法士)がリハ主任
彼らの決定は絶対でした。
風通しなんてなし、アットホームなのは家族経営している一族だけで僕たちは奴隷みたいなもんでした。
楽しくなかったです。
基本給が少ない
理学療法士でも給与の高い職場はありますが、その多くは訪問リハや老健です。
病院で働こうとすると、どうしても給料水準は低くなります。
一般的な病院の基本給は21~24万円程度だと思います。
私は当時クリニックで働いていました。
総支給額は27万円で、かなり給与水準は高かった…と思いきや、基本給はゴミでした。
当時の基本給は13万円です。
それに「資格手当12万円」「皆勤手当て2万円」がついて合計27万円です。
基本給が低いと、賞与(ボーナス)が下がります。
賞与4か月分=基本給の4か月分なので、基本給20万円だと年間80万円になりますが、基本給が13万円だと年間52万円にしかなりません。
ボーナスだけで月収以上の差になります。
また、皆勤手当ては2万円ですが、1回遅刻すると半分の1万円になり、1回休むと0円になります。
風邪は絶対に引けません。
リスク高すぎます。
こんな感じで、理学療法士の転職を決意する理由5つの全てに当てはまっていた私は転職を考えるのでした。
退職と転職を覚悟した2つの理由
私は仕事に不満を持って働いていたのですが、我慢して働いていました。
そして、3年目に2つの理由を期に転職を覚悟します。
その2つの理由が
- お金
- 拘束時間
でした。
転職の決め手①3年経っても給料が安い!
・総支給27万円(基本給13万円)
・手取り21万円
・賞与1か月
・木・日休み
・9:00~19:00勤務(休憩2時間)
・年間休日102日
・年収:337万円
横浜市内の整形外科クリニックでしたが、見た目以上に給料はかなり少なかったです。
総支給額は27万円と高そうに見えますが、基本給はたったの13万円。
そしてボーナスはたったの1か月分しか支給されません。
ただでさえ基本給が低く、ボーナスが少ないのに1か月分しか出ないんですよ。
夏のボーナスが75,000円。
本当にクソ。お年玉のほうが多い。
手取り21万円と、そこそこ貰えているように思えますが年収に換算するとたったの337万円。
しかも昇給はたったの500円。
1人暮らしで車も所有していた私は、ちょっと厳しい生活を余儀なくされていました。
この頃の昼ご飯は、スーパーで買ってきた冷凍食品をマイクロ波で温めて食べているという医療従事者と思えない生活をしていました。(職場にレンジは無い)
そんなに痩せて…これでも食べなさい
当時174センチで体重が52キロしかなかった私を見かねたお金持ちの患者さんが私にハンバーガーを差し入れしてくるという状況。
携帯電話は親の口座から引き落とされているので大丈夫でしたが、水道、ガスは止められてしまい親元に請求書が届く始末。
こんな稼げない仕事を続けても意味があるのか?と思い始めた頃でもあります。
やっと手に入れた車も維持できず、売ってしまいました。
これは悲しかったですね。
しかも決め手は理学療法士の平均年収です。
理学療法士の平均年収は407万円だそうで、私はそれより70万円も少ないんです。
月収換算すると、平均的な理学療法士より毎月6万円近く少ない計算です。
この時、私は理学療法士の中でも底辺に近い職場で働いていると痛感しました。
これが転職を考えた大きなきっかけの1つです。
転職の決め手②拘束時間が長すぎる
整形外科クリニックは、仕事帰りの人もターゲットにしています。
一般的な病院は17時に終わってしまうので、仕事をしている人は平日に医療をうけることができません。
整形外科クリニックは、診療時間を19時までにすることで仕事帰りの患者を受け入れているんです。
そうすると、割を食うのはスタッフ。
朝8時半に出勤して、一般的な病院であれば8時間労働で17時半に勤務が終了します。
でもクリニックは違います。
夜遅い時間まで診療時間を設けなければならないので、途中に2時間もの休憩をはさみ、19時までの診療を行うんです。
最初は2時間も休憩があるのは嬉しかったのですが、1年・2年と経過するにつれて「この休憩は無駄では?」と思い始めました。
もちろん、それをメリットに感じる方もいるとは思いますが、私にはデメリットにしか感じませんでした。
19時に臨床が終わり、その後掃除や閉めの作業、カルテ記載のために60分のサービス残業。
家に着くのは20時半を回っています。
家に帰ってもご飯を作って食べて、お風呂に入ったらもう22時です。
当然自炊の頻度は減り、コンビニ弁当が増えるのでお金もかかります。
本当に家と職場を往復するだけの生活に疑問を感じました。
できれば18時には家にいたい。
そして大好きなゲームやネットサーフィン、夜のドライブをしたい。
せっかく横浜市に住んでるのに、どこにも行かずコンビニ弁当を食べる生活に本当にイヤになりました。
これが転職を決めた2つ目の大きな理由です。
理学療法士3年目で退職・転職した流れ
求人情報を集める
退職・転職を決意してからは、すぐに転職活動に入りました。
まずは求人情報を閲覧しつつ、自分のイメージを膨らませていきます。
持つべきイメージは「キャリアプラン」と「ライフプラン」で分けるとイメージをしやすいかもしれません。
- どんな仕事をしたい?
- どこで働きたい?
- 将来どうなりたい?
- 給料はいくらほしい?
- 休日は何日ほしい?
- 何時に帰りたい?
このように、自分のやりたい事や欲しい収入などをイメージし、それに合った求人情報を探していきます。
私のイメージはこんな感じ。
- 病院で働きたい(クリニックは嫌だ)
- 回復期で働きたい(本当に困っている人のリハをしたい)
- 長く働きたい(福利厚生がよい)
- 年収400万円以上は必須(最低ラインの希望)
- 年間休日120日以上(最低ラインの希望)
- 18時には家に帰りたい(最低ラインの希望)
この条件に当てはまりそうなものを、探していくんです。
特に「絶対にこの条件は外せない!」というものも決めておくとイイと思います。
転職サイトに登録する
求人情報をネットや求人情報誌で閲覧すると分かるのですが、求人数はアホみたいにあります。
それを1つ1つ見て行くのは非常に時間がかかり、とても面倒。
しかも理学療法士の求人を探しているのに看護師の求人が出てきたり、作業療法士の求人が出てきたりと、非常に効率が悪いんです。
最初は楽しいんですが、2~3日もすると求人を探すのがダルくなってくるんですよ。
ただでさえ毎日忙しくて時間がない中で、求人情報を見るだけで時間が奪われるのも勿体ないです。
そのまま面倒くさくなり「この職場のままでいっか…」なんてことにもなりかねません。
だから転職サイトに登録したほうが効率的なんです。
私はPT・OT・ST WORKERとマイナビコメディカル に登録し、希望の条件をサイトに入力しました。
すると、1時間くらいで担当者から電話が掛かってきて、資格の有無や細かい条件の希望などを10分程度お話します。
1~2日するとメールか電話で、希望に合った条件の求人を教えてくれる、といった流れです。
転職サイトに登録するメリットは
- 膨大な求人の中で自分の条件に合ったものを選んでくれる
- 時間の無駄がない
- 働きながらでも求人情報収集ができる
- 求人先との日程調整を進めてくれる
これが大きいと思います。
基本的に退職は、次の転職先が決まってからのほうが良いので、働きながらの転職活動になります。
仕事が忙しい人は求人情報の閲覧はもちろん、求人先に電話して面接の日程を組むとか面倒くさいことをしている暇はないんですよね。
そもそも求人先に電話するの緊張するから電話したくありません。
それらを全て無料で代行してくれるので、転職サイトは活用したほうが良いと思いますよ。
面接・内定をもらう
理学療法士は1年目でも転職は容易です。
どんな理由であれ就職先はまだたくさんありますし、1年目だからって悲観する必要もありません。
そして私のように3年目であれば、どんな職場でも普通に転職できます。
だから自分の条件を欲張りなくらいドンドン伝え、より良い職場に転職することをおすすめします。
基本的に面接後、1週間程度で合否が決まります。
ここで注意して欲しいのが「その場で採用するような職場は辞退する」ということ。
職員を雇うのは非常に大変なんです。
アルバイトのように、その場で即採用するような職場は、「総務課がない/機能していない」「人事部がない/機能していない」「面接官の裁量によってすべてが決まるワンマン経営」のいずれかです。
こうした職場は福利厚生もしっかりしてないし、入職してからもトラブルが出たりします。
だから面接に行ってその場で「採用」が決まっても、契約書にサインをせず保留にしてください。
ちゃんとした職場は「面接→人事部で検討→配属先の総務またはリハ科所属長で検討→正式採用」のステップを踏むので、時間がかかるものです。
マジで気を付けてください。
入職時期はどうする?
入職時期は、3か月以上先にしてください。
この時点では、まだ今の職場に退職の旨を伝えていないはず。
法的には退職届は辞める2週間前に提出すればいいのですが、なかなかそう上手く行きません。
引継ぎもあるし、補充人員の調整も必要なので最低でも1か月前、できれば3か月くらい前に伝えると大きな問題にならないと思います。
だから入職時期は、今の時点から3か月先を目安に伝えてください。
私は4月に退職の旨を相談し、8月に退職しました。
もし入職時期が分からない場合、「退職時期が決まったら改めて連絡させてください」と伝えてください。
転職時のボーナスについて
転職1年目の最初のボーナスは出ないので何月に転職するか特に気にしなくていいと思います。
転職先でボーナスが出るのは「次の次」のボーナスです。
今の職場でボーナスを貰ってから辞めたい、という考えの人もいるかもしれません。
その場合、退職の旨を伝えるのはボーナスが出た後にしてください。
ボーナスが出る前に退職が受理されると、その時点でボーナスが出なくなってしまう可能性があります。
そもそもお金が少ないから転職したい、と考えている場合はボーナスなんか貰わずにさっさと転職したほうが後々貰えるお金は多くなりますよ。
退職届を提出する
転職先が決まったら、すぐに職場の所属長に退職する旨を伝えてください。
言いにくいかもしれませんが、ここで伝えるのを伸ばしてしまうと退職時期もずれ込み、入職日に間に合わない可能性があります。
退職理由は何でも良いです。
本当の事を言うと面倒になるので、適当に当たり障りないことを伝えればOK。
この時、退職希望日も伝えてください。
所属長に退職の旨と希望日を伝えれば、その日までに上司側で動いてくれます。
退職(労働契約の解除)を承認されたら、退職届を書きます。
あくまで退職について合意形成したあとに提出する書類ですので、いきなり退職届を提出するのはダメ。
勤務先によって書式や提出先が異なるので、確認したほうがいいです。
普通にネットにある情報で書けば良いはずですけどね。
引継ぎをする
退職が受理されたら、引継ぎをします。
自分の患者の担当変更や、借入物品の返却などを行います。
この時、個人情報に当たらない情報(自分が作成した勉強会資料やフォーマット)などはUSBにコピーして持っていれば、次の職場で役に立つかもしれませんね。
有休をまとめてとれない可能性もあるので、半年以上前から徐々に有休消化に入ったほうが良いですよ。
退職金も3年以上勤めていると貰えるので、一応貰っておきましょう。
私の退職金は10万円くらいでした。
ないよりマシか。
入職する
入職日になったら、指定された時間に指定された場所に向かいます。
基本的にはスーツです。
新しい職場でも頑張ります。
以上が退職・転職までの流れです。
退職・転職の流れ
- 求人情報を集める
- 転職サイトに登録する
- 面接・内定をもらう
- 退職届を提出する
- 引継ぎをする
- 入職する
理学療法士が転職した後の生活はどうなった?
- 年収340万円→420万円
- 19時まで勤務→17時半まで勤務
- 電車で30分→バイクで5分
新しい職場はこのような変化を遂げました。
理学療法士として働いて4年目についに平均年収をクリアし、この転職で月の手取りは2万円アップ、ボーナスに至っては50万円も上がりました!
よく経験は3年積んだ方がいい、という話がありますが、3年働いたほうが給与アップ率も高いような気がします。
でもゴミみたいな給料で働くくらいなら1年目もどんどん転職していいのではないでしょうか?
大丈夫。理学療法士はまだまだ働ける資格です。
どの施設を受けてもほぼ受かります!
仕事をして3年目に転職し、年収は80万円上がりました。
それで得られたものが
- 新しい車を買った
- 貯金を毎月5万円できるようになった
- 趣味の時間が増えた
これはデカいです。
増えた収入は貯金に回しつつ、趣味の時間も手に入れることができたのは大きな変化です。
やっぱり私には19時までの仕事は向いていません。
早く帰りたいので。
でも貯金をしているとはいえ、まだまだ良い生活にはたどり着いていません。
サラリーマンの平均年収はだいたい430~450万円程度ですから。
そうして今度はキャリアプランについて考えていくのでした。
まとめ
理学療法士が退職を覚悟する5つの理由
- 肉体労働で身体的に辛い
- 仕事が忙しいくせに給料が低い
- ほとんど昇給しない
- 職場の雰囲気が良くない
- 基本給が少ない
退職・転職までの流れ
- 求人情報を集める
- 転職サイトに登録する
- 面接・内定をもらう
- 退職届を提出する
- 引継ぎをする
- 入職する
転職するには覚悟はそんなに必要ないと思います。
意外と簡単なきっかけがあれば、転職に踏み切る人が多い印象です。
今の職場で我慢するより、新しい職場で楽しく過ごしたほうが絶対に良いと思います。
ちょっとくらいの不満なら良いと思いますが
- 毎日仕事に行きたくないと思っている
- 毎日将来の事を深く考えてしまい憂鬱だ
- まわりの人が羨ましい
というような気持ちがあれば、転職を考えてみるのもいいかもしれません。
あなたにとって、その職場は大切な職場ですか?
あなたにとって大切なのはあなた自身です。
よく考えてくださいね!
この記事を読んで少しでも参考になれば幸いです。