私は理学療法士として10年以上働いてきました。
施設も「整形外科クリニック」「急性期病院」「回復期病院」「訪問リハ」と多く経験してきましたが、その経験の中で「理学療法士は辞めておいた方がいいな…」と思うことがあったのでご紹介します。
理学療法士をネット検索するとでてくる「やめとけ」というワード。
その真意をこの記事でまとめています。
「理学療法士はやめとけ」と言われる理由
理学療法士は国家資格ですが、将来性や待遇面で恵まれているとは言えません。
そんな状況だからこそ「理学療法士はやめとけ」と言われてしまうんでしょうね。
でも実際はどうなのでしょうか?
「理学療法士として10年以上経験を持つ」現役PTが自分の経験を元にお伝えしていきます。
【理学療法士はやめとけと思える10の理由】
- 理学療法士が増えすぎている
- 給料が低い
- ボーナスが少ない
- 昇給が少ない
- 業務量が多い
- サービス残業が多い
- 人間関係が面倒
- 頑張っても変化なし
- 休みにくい
- 良い患者ばかりではない
理学療法士が増えすぎている
理学療法士の累計人数は2022年の時点で約20万人です。
ちなみに私が合格した2010年は約9万人でした。
ここ10年ちょっとで2倍も増えているんですよね。
ちなみに2000年の時は約3万人。
そしていまだに毎年1万人もの理学療法士が増えています。
圧倒的に飽和状態なんですよね。
厚生労働省の理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性についてという資料では、2018年の時点ですでに需要を満たしているそうで、2040年には需要に対して療法士の数が1.5倍になるそうです。
それに伴い良い求人は減っていき、就職できない療法士も増えます。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
給料が低い
理学療法士の給料はこちらです。
年収288万円って安すぎると思いませんか?
もちろん、もっと給与の良い職場はありますが、こういう求人が出てきている時点でダメな気がします。
理学療法士の平均年収は407万円で、中央値が370万円と言われています。
一般的な会社員の平均年収は437万円です。
国家資格の理学療法士が一般的なサラリーマンより少ない給料なんておかしいと思いませんか?
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
なんでこんなに給料が安いのか?は【理学療法士の給料が安い理由と20代でも給料を爆上げする方法 】という記事でも取り上げているので、ぜひ読んでみてください。
ボーナスが少ない
平均賞与(ボーナス) | 64万6400円 |
これが理学療法士のボーナスです。
※賃金構造基本統計調査|厚生労働省 (mhlw.go.jp)による
ボーナスは1年で0~4か月分支給されます。
基本的には夏・冬の2回なので、1回のボーナスが約32万円ということになります。
ここから税金が引かれます。
ちなみにサラリーマンのボーナスは年間105.1万円。 (冬49.6万円、夏50.1万円)
なんと理学療法士はサラリーマンの60%しかボーナスがないんですよね。
やる気なくします。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
昇給額が少ない
正しいデータは見つけられませんでしたが、理学療法士の昇給額は0~5000円程度のようです。
平均すると2500円くらいだと思われます。
2500円昇給すると年収が4万円しか増えません(賞与4か月で計算)
10年で年収が40万円しか増えないので、働き甲斐は無いですよね。
最低でも5000円昇給すれば、年収は8万円、10年後に80万円増えるので我慢できる気もします。
ちなみにサラリーマンは7000円程度上がるそう。
一般的には基本給の2%上がれば良いとされています。
20万円なら4000円、25万円なら6000円、30万円なら8000円。
昇給額はとても大切なので、ぜひ確認してください。
500円とか1000円とかの昇給額はマジでゴミです。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
業務量が多い
理学療法士はリハビリ以外にも仕事がかなり多いです。
定時で帰れる日の方が少ないのではないでしょうか。
【理学療法士実態調査報告】を参考に残業時間を調べてみました。
調査アンケートによると、理学療法士の月の平均残業時間は5~10時間です。
残業をしないと業務が終わらないということですね。
残業ゼロの職場も多いと思いますが、それでも処理業務やカンファレンスなど仕事量は多いです。
しかも自分だけが頑張ればいいのではなく、医師や看護師、医療相談員などと連携しなければいけないので、自分のペースでできないことも。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
サービス残業が多い
【理学療法士実態調査報告】によると、残業しているのに全く残業代が支給されない理学療法士が30%もいるらしい。
つまりサービス残業をしているということです。
100%の理学療法士の内、80%は残業を10時間程度しており、さらにそ80%の残業実施者のうち60%は残業が十分支給されず、30%は残業代が全く支給されないらしいです。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
人間関係が面倒
理学療法士は人間関係がけっこう面倒です。
医師、看護師、介護士、医療相談員などに報連相をしなければなりませんし、OT・STとも連携を取らないといけません。
もしも嫌われでもしたら大変です。
「あいつは使えない」と思われてしまっても仕事がしにくくなりますよね。
あと忘れてはいけないのが「意識の高い理学療法士」や「ハラスメントをしてくる理学療法士」です。
理学療法士はコミュニケーションが必須な仕事なので、人間関係がちょっと悪化するとメチャクチャ居づらくなります。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
頑張っても変化なし
理学療法士は単位時間制を取っています。
20分リハビリすれば決まった医療保険点数を請求できます。
つまり、1年目も10年目も取れるお金は変わらないんですよね。
だから頑張っても病院に入ってくるお金は変わらないので、当然給料も変わりません。
さらに認定理学療法士や3学会合同呼吸療法認定士など難易度の高い資格を取得しても給料にはほとんど反映されません。
あまり役に立ちませんからね。

頑張っても報われないのが理学療法士なんです。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
休みにくい
理学療法士の職場はギリギリで回っているところが多いです。
だから突発休や有給に対応できないことがあるので、休みにくいんですよね。
しかも子供を持っているご家庭は、子供の体調不良等で早退することもあります。
そうすると、子供を持っていない人たちがその代わりに仕事をしなければなりません。
じゃあ人を増やせばいいじゃん、と思うかもしれませんが、患者1人に対して1日に取得できる単位数が決まっているので、人数を増やすと暇な人が出てきてしまいます。
だから決まって病院は人数に余裕を持たせず、ギリギリの人数で回そうとするんです。
当然、有給だって使えません。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
良い患者ばかりではない
患者の全てが、リハビリをして良くなりたいと思っている訳ではありません。
認知症の患者もいますし、リハビリ拒否する患者もいます。
ひどいと、患者を説得するのに30分とかかけることもあります。
めちゃくちゃ時間の無駄ですし、ストレスもたまります。
最悪の場合、患者に殴られたり暴言を吐かれたりもします。
病院によってはかなりメンタル的にキツイ仕事になると思います。
これが「理学療法士はやめとけ」と思える理由の1つです。
まとめ:「理学療法士はやめとけ」と思える10の理由
【理学療法士はやめとけと思える10の理由】
- 理学療法士が増えすぎている
- 給料が低い
- ボーナスが少ない
- 昇給が少ない
- 業務量が多い
- サービス残業が多い
- 人間関係が面倒
- 頑張っても変化なし
- 休みにくい
- 良い患者ばかりではない
もちろん、良い職場もあります。
給料が高くて休みやすくて働き甲斐のある職場も
でも正直、もっと楽で稼げる仕事は沢山あるんじゃないかな?と思います。
理学療法士はやめとけって本当?実際は?
理学療法士は、将来性や待遇面でかなり不利だと思います。
でも良い所もあります。
理学療法士として10年以上働き、「整形外科クリニック」「急性期病院」「回復期病院」「訪問リハ」と多く経験してきたうえで、理学療法士をなぜまだ続けているのかを最後にお話しします。
理学療法士の需要は今後も高まる
理学療法士は飽和状態という話をしましたが、じつは「今のペースで理学療法士が増えれば飽和する」というだけの話。
将来、何が起こるのか?というと「高齢者の爆増」です。
2020年現在、高齢者は3640万人いますが、2040年には4375万人になると言われています。
総人口の35%です。
つまり、医療・介護・健康の需要が多くなっていくので、理学療法士は飽和状態にはならないのではないか?と思われます。
介護保険分野の需要増加が見込めるんです。
また、理学療法士という資格ができたのが昭和41年(1966年)です。
もう55年も経ち、約1万人が定年退職しています。
理学療法士が増えれば、定年で減るんです。
だから受験者が2万人とかにならなければ、しばらくは大丈夫かと思います。
めちゃくちゃ安定する
理学療法士は国家資格で、医療保険の点数でお金を稼いでいます。
つまり病院にとって「いるだけで確実に稼いでくれるスタッフ」と言えます。
だからお金に関しては大きく伸びないかもしれませんが、大きく減ることもありません。
また、病院が潰れる可能性もそこまで高くありません。
非常に安定して働き続けられるのが魅力ですね。
リストラにもほとんどなりませんし。
需要はメチャクチャある
理学療法士の需要はまだメチャクチャあります。
もちろん、給与や休みなど条件の良い所は少ないかもしれませんが、条件にさえ目をつぶれば就職できないことなんてありえません。
例えば、出産や子育て、病気などで数年離脱しても、再就職はけっこう簡単にできます。
もちろんパートもたくさんあるので、まだまだ理学療法士は需要は抜群です。
転職で給与アップしやすい
理学療法士として1つの職場で長く働く方はあまり多くありません。
統計的に転職経験がある方は18%もいるんだとか。
私も転職経験ありですが、苦労することなくあっという間に転職先が見つかりました。
しかも経験年数によって査定されるので、ほぼ間違いなく給料も上がります。
年収ベースで50万円、すごいと100万円も上がる場合があるので、転職して給料を上げやすいのも理学療法士の魅力です。
さいごに
理学療法士は正直、やめとけと言いたい。
給料も少ないし、昇給しにくいし、人間関係も面倒です。
しかしまだまだ理学療法士が期待されている職場、働き方は多くあると思います。
どんな仕事でもそうですが、デメリットはあります。
お金や時間もメチャクチャ大切ですが、自分が理学療法士としてなにをしたいか?という気持ちを大切にしていただきたいと思います。