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電通違法残業事件の経緯
- 1991年、入社2年目の男性がパワハラと過労により自殺
- 電通は安全配慮義務違反として訴えられる
- 遺族が電通に対して損害賠償を求める
- これにより遺族が企業に損害賠償を求める裁判が増加した
- 2000年に遺族に1億6800万円の損害賠償の支払いを命じる
- しかし2015年にまた新入社員がパワハラと過労により自殺
- 電通は労働基準監督署から労働基準法違反で書類送検される
- それにより働き方改革が推進
- 16年9月に労災認定
- 17年1月に当時の社長が引責辞任
- 電通は罰金50万円の有罪判決
- 上司は起訴猶予処分
- 遺族側は、起訴しないのは不当として、検察審査会に審査を申し立てている
この流れを見ても、電通は社員の働き方を改善しようとせず、過去の悲惨な事件を忘れて同じ過ちを繰り返すブラック企業として名をはせました。
しかも2回目の過労死では罰金50万円と起訴猶予処分なので刑も非常に軽いのが気になりますね。
ちなみに電通グループは2019年12月期(前期)の連結最終損益(国際会計基準)が808億円の赤字となっています。
電通違法残業事件の判決!社長は起訴事実を認め有罪だったが体質は変わらず
【FNNPRIME】
▽2017年裁判の開始▽
過労自殺した女性社員ら社員4人に東京本社の部長3人が違法残業をさせたのに、法人としての電通が防止策を怠ったとして、労働基準法違反罪に問われている。
東京区検が7月、部長3人を起訴猶予処分、法人の電通に罰金刑を求めて略式起訴。東京簡裁は書面だけの審理で結論を出すのを「不相当」と判断し、正式裁判が開かれる。
(2017-09-21 朝日新聞 朝刊 3社会)
▽同年10月、判決▽
電通の違法残業事件で、東京簡裁(菊地努裁判官)は6日、労働基準法違反罪に問われた法人としての同社に対し、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡した。(2017/10/6 15:04 (2017/10/6 16:00更新)日経経済新聞より)
有罪判決が出たものの…
▽電通、また違法残業▽
2018年度に労使協定(36協定)で定めた時間を超えて社員に違法残業をさせたケースが4件あり、最長で月156時間54分に達していた。また、36協定で定められた残業時間の延長を、事前申請なしに行っていた例も6件あった。いずれも東京本社の営業関連部署で発生したという。
(2019年12月05日20時00分 JIJI.com)
▽電通、また是正勧告▽
大手広告代理店電通(東京都港区)が2019年9月、社員に最長で月156時間もの違法な残業をさせ、労働基準法に違反したなどとして、三田労働基準監督署(同)から是正勧告を受けていたことが5日、同社への取材で分かった。(2019年12月05日20時00分 JIJI.com)
電通の体質は全くと言って変わっていないようです。
電通は罰金50万円・元上司は不起訴(起訴猶予)
大手広告会社の電通(東京)の違法残業事件で、平成27年に過労自殺した新入社員(24)の元上司を不起訴とした東京地検の処分について、東京第1検察審査会は「不起訴相当」と議決した。
電通と元上司らは労働基準法違反容疑で書類送検され、地検は昨年7月に電通を略式起訴し、元上司を不起訴(起訴猶予)とした。電通は罰金50万円の東京簡裁判決が確定している。
2018年7月27日 15時45分 産経新聞
2018年7月現在で電通に50万円の罰金と、上司の不起訴処分が確定しています。
人が1人亡くなってるのに50万円で済むのか。
740億円あまりの資本金を基に考えると、あまりにも安すぎるのでは?という疑問は拭えない結果となってしまいました。
電通の過労死事件が世間に教えてくれたこと
私はこの事件の結果に対し、とやかく言うつもりはありません。
本心は
- パワハラで追いやった上司が不起訴?そんなばかな!
- 人を亡くした一流企業への罰金がたったの50万?そんなばかな!
と、日本の闇を垣間見たようなきがしましたが、残念ながらそれが日本という国家の出した判決でした。
どのような判決であれ、彼女はもう戻ってこないので本当にモヤモヤするのですが、家族はもっとやるせないでしょうし、怒りを通り越して呆れているかもしれません。
この事件により、日本の企業の闇が見えてきました。
- 一流企業の闇
- 新人への接し方の闇
- 働き方の闇
電通という日本でも地位の高い企業においての違法残業。
そして、モラルが問われるはずの一流企業においてのパワハラ問題。
全てが『一流』と呼ぶにはお粗末なものでした。
そこへ入職した一流大学を出た新入職員。
だれがこの結末を予測したでしょうか。
そして、日本の法律の秩序の無さも浮き彫りになりました。
法定の労働時間、休憩、休日
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。時間外労働協定(36協定)
労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。
※時間外労働協定は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。
これって守られていなかったと解釈していいんですよね。
そしてもう一つ
36協定による延長時間の限度は、一般労働者の場合、1ヵ月に45時間程度、1年間で360時間程度を超えないものとしなければなりません。
彼女は20時間以上の労働をしていた日もあったそうなのですが、周囲はおろか国も助けてくれませんでした。
自分から声をあげない限りスルーされてしまうのが実情です。
電通事件で変わるもの:過労死をなくす働き方改革の加速的普及
彼女がもたらしたもの、それが『働き方改革』の急速な普及ではないでしょうか。
今までは会社の言いなりになっていた我々社員が、自分の考えで仕事を選択できるような改革案を政府が提案してきました。

しかし、あくまでこの改革は『我々労働者が選択するもの』であり、経営者が率先して首を突っ込んでくるようなものではないような気がします。
ここで実刑判決が出れば、労働環境も大きく変わっていったことでしょう。
現状ではとてもじゃないけど過労死が減る、もしくはなくなるような改革内容とは思えませんね。
企業に厳重な処罰を与えるべきだったと考えます。
一流企業に多い!ハラスメントについて
私がこの事件で、最も納得がいっていないのは、この女性社員は残業の多さで大変な目に合っていたのでなく、この上司のパワーハラスメントにより大変な目に合っていたのではないか?という所です。
過労!過労‼と言っていますが、確かに過労です。
では、その過労はなぜ起こったのか?
この女性は自分から望んで労働をしていたのでしょうか?
実際は違うと思います。
現に、この女性はSNSでhelpを求めています(実際に助けて欲しいとは言っていないが、不満を綴っている)
「休日返上で作った資料をボロくそに言われたもう体も心もズタズタだ」「眠りたい以外の感情を失った」
「もう4時だ 体が震えるよ…しぬ もう無理そう。つかれた」
「生きているために働いているのか、働くために生きているのが分からなくなってからが人生」
「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」
「毎日次の日が来るのが怖くてねられない」
「がんばれると思ってたのに予想外に早く潰れてしまって自己嫌悪だな」
「毎朝起きたくない?」「失踪したくない?」
「はたらきたくない1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」
「死ぬ前に送る遺書メールのCC(同時送信)に誰を入れるのがベストな布陣かを考えてた」
「男性上司から女子力がないと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても限界である」
「鬱だ」
残業や休日出勤をやりたくてやっている訳ではなさそうです。
まぜ彼女はイヤイヤ仕事をしていたのか?
そこで上司の登場です。
- 休日返上で働かせて
- 仕上げた仕事に対して文句を言い
- 無茶な強要をさせる
ただの残業100時間ではありません。
- 疲れていた
- やりたくなくて
- 頭も回らなくて
- でも必死でくらいついて
- 毎日罵倒されて
- 泣きながら働いた100時間
私は耐えられません。
この上司は有罪になるべき人です。
立派な罪人であると言えます。
そんなことも分からない人たちが、何を持って働き方改革を推し進めているのでしょうか?
本当に謎です。

SOSは届かない!会社は助けないし変わりはいくらでもいる
この女性社員は東大を卒業していました。
東大卒ってけっこうレアな感じがしますが、平成28年には約3000人の卒業生が世に放たれています。
確かに少ないのですが、一流企業にとってはそれもただの新卒生としか見ていないのでしょう。
会社は社員を守ってくれない所か、使い捨てるということがこの事件でよく分かったと思います。
社員とその家族の人生を狂わせておいて、たった50万円の罰金と不起訴処分。
開いた口がふさがりません。
必死に戦ったご家族も、この結果を見てどう思うのか。
電通の役員や上司たちは、自分の娘や孫がこうなってものんきに暮らしていられるのでしょうか?
彼らは時が経てば、この事は忘れてしまうのでは?
【追記】結果、電通はこの事件の事をあっという間に忘れて2019年にまた労働基準法を大きく超える残業を強要しています。
また同じような事が起こらないことを祈るばかりですが、きっと同じような事件が起こります。
その対象者は、もしかしたらあなたかもしれません。
過労死を避けるためにどうすればいいのか?
過労死やパワハラを避け、大切な人の命を助ける事ができるのは誰か?というと、それは親や家族ではありません。
こういったケースで、親族の言葉というのは意外と入っていかないものです。
事実、この電通の過労死事件でも、事件の当日に実の母親と連絡を取っていたそうです。
そして、母親も異常を察知したのか、的確なメッセージを送っています。
それでも、引き金を止める事はできませんでした。
身内の言葉は響きません。
自分の事は自分で守る!辞める勇気!辞めさせる勇気!
会社や社会や法律は自分を守ってくれません。
今回の件も、36協定や労災などの法律がありましたが、全く機能していませんでした。
法律が機能しないのであれば、自分でなんとかするしかありません。しかし、辞めようと思っても辞められないんです。
『さっさと辞めればいいじゃん』
と、思うかもしれませんが、そうもいかないんですよ。社会人とはそんなもんです。
そして、最終的には家族の言葉も耳に入らなくなります。
会社を無断欠勤すれば、損害賠償だなんだと会社がさらに追い詰めてきます。
本当に鬼畜です。
こういった場合はどすればいいのでしょうか。
そういう時は、第三者への相談が最もいいと考えています。
だから第三者に相談しましょう。
- 鬱傾向であれば精神科医に
- 明らかな労働違反があれば労基に
- 社会的に対応困難であれば弁護士に
恐らく、100時間もの残業を強要するパワハラ上司は味方ではありません。
敵です。
敵には何を言っても無駄です。
そして、人1人とその家族の人生を狂わせたのに無罪にする国家も恐らく(労働者にとって)敵です。
今回のような強い敵が相手なら、逃げる準備もしておいたほうがいいでしょう。
電通なら何事もなくもみ消していたかもしれませんが…誠心誠意な対応だったとはいまだに思えませんしね。
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さいごに:この電通事件は忘れてはいけません
いろいろとあやふやなワードで書いてきましたが、この記事が何年も検索エンジンに残る事を期待します。
労働者にとって、決して忘れてはいけない痛ましい事件ですから。
日本の労働環境は変わりません。
企業も、そして法律も、日本という国も変わりません。
働き方改革も『今の環境が嫌ならお前らが勝手に変われば?』みたいなメッセージにしか受け止められません。
恐らくですが、何もしなければ国家も会社も助けてくれません。
そう思っていた方がいいですし、無駄な期待はやめましょう。
社員よりもお金が大事な企業が一流企業と呼ばれる国です。
まずは身近なところから、自分の生活を見つめ直してください。
あれ?これっておかしいな?
そう思ったら、自分で何かを変えてみましょう。
追いつめられると行動できなくなります。
まだ動けるうちに。
その変えるべき一つが、このサイトのコンセプトになっています。
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信じるべきは自分ですよ。
御家族のみなさん、お悔やみ申し上げます。
辞めたくても辞められない理由がこの本に書いてあります。
ブラック企業で仕事に悩んでいる方必見です。