介護老人保健施設の仕事ってどんなことをするかあまり知られていないですよね。
なんとなくイメージとしては、ベッドサイドで起き上がれない高齢者の拘縮予防をしたり、リハビリ室にみんなを集めて集団体操をしたり、車いすに乗せて散歩しに行ったり…
実際、介護老人保健施設で理学療法士が働くとどんな仕事をするのか、老健から転職してきた10年目の理学療法士に話を聞いてみました。
【このインタビューに答えてくれた人】
新人で老健に入り、6年目で【PTOTキャリアナビ】を利用して一般病院に転職。
介護予防推進リーダーとして地域のセミナーで発表経験あり。
イケメン。
理学療法士は介護老人保健施設でどんな仕事をするの?
老健ではどんな仕事が多いんですか?
—主に脳卒中や骨折など、病院である程度治療やリハビリをしてきた人に対するリハビリが多いです。
私が勤めていたところは、維持期の利用者さんが多かったので身の回り動作をできるように運動していましたね。
場所によっては、回復期リハビリ病棟で自宅に帰れず、もう少しリハビリしたいから来た、という方もいらっしゃいます。
施設によりけりと言った所ですね。
どんな疾患が多いんですか?
—先ほども出ましたけど、脳血管疾患が全体の6割以上を占めます。
それに伴って認知症やその他内部疾患を合併している人も多いので幅広い知識が必要ですね。
まぁ認知症・糖尿病・心疾患なんかは絶対に必要な知識ですし、高血圧症や変形性関節症なんかほぼ100%罹患しています。
リハビリ以外に仕事はありますか?
—老健では治療業務が基本ですが、会議や書類業務が結構多いんですよ。
介護保険の書類や計画書、カルテなんかもそうですが、福祉用具の準備や介護サービスの提案、介護士やケアマネージャーとの連携もあるので、一般病院よりは仕事の幅が広いように感じますね。
いまはこの病院(回復期リハビリ病棟)に転職してきたので、仕事量としては少なく感じますね。
理学療法士の介護老人保健施設での1日ってどんな感じ?
1日のタイムスケジュールを教えてください
- 8:30:朝礼
- 9:00~利用者介入
- 11:00~デイサービス利用者介入
- 12:30:昼休憩
- 13:30~デイサービス利用者介入
- 14:30~利用者介入
- 15:30~連携会議(週2回)
- 17:00~清掃・洗濯
- 18:00~カルテ記載
- 18:30:業務終了
—ほぼ毎日残業していました。
私の施設はスタッフが少なかったので、理学療法士も洗濯物の片付けや掃除もしていましたから。
利用者へのリハビリは1人20分で、1日19~20人くらい介入していました。
もちろん、集団体操やマシントレーニングもやりますが、頻度はあまり高くありませんでしたね。
老健で働くにはどんな知識が必要ですか?
—介護保険の知識は絶対に必要ですね。
あとは地域の行政とか。
まぁ働いているうちに嫌でも憶えていくので、自分で教科書を開いたり…ってことは無かったです。
知識としては3大疾患である「脳卒中」「心疾患」と老人特有の疾患の「骨粗しょう症」「廃用症候群」「サルコペニア」は知っておいた方がいいと思います。
運動負荷の指標の修正ボルグスケールやカルボーネン法は覚えておくといいかもしれませんね。
介護老人保健施設ってどんな所なの?
老健の良い所(魅力)ってどんな所ですか?
—やっぱり在宅復帰を目指していく施設ですから、出所後の生活を嫌でも意識していくことですかね。
病院では「歩けるようになったね、じゃあさようなら」みたいな感じですけど、老健では「このまま帰って大丈夫だろうか?」という気持ちが常にあります。
1人の人間の生活を考えられるというのは、深い知識と思いが必要ですよ。
他には20分という短い時間で結果を出すスキルが磨けますし、行政にも詳しくなるのでおすすめ!
逆に悪い所ってどんな所ですか?
—そりゃ老人しかいない所です。
要介護1以上の人が来るので、一番若くても65歳ですから、若い年齢の人をリハビリしたいという人は向かないですね。
あとは残業が多かったり、ボーナスが少なかったり…
▽ボーナスカットされたPTの話▽
老健で働く理学療法士の給料は?
ボーナスの話が出たところで、給料はどれくらい貰えるんですか?
—それこそ施設によって様々で、平均すると26万円くらいじゃないかな?と思います。
病院よりは貰えるけど、訪問リハより貰えない…といった感じですかね。
年収にすると400万円ちょっとが多いかもしれませんね。
ボーナスが3か月という所もありますが、その分基本給は高めなので結果的に一般病院とあまり変わらないと思いますよ。
私の年収は420万円ほどでした。
まとめ:老健で働くために知っておきたい事
- 入所期間は3か月
- 1単位20分で19人実施
- 施設によって重症度は異なる
- 残業は多め
- 給与はやや高め
基本的に老人保健施設は在宅復帰を目指すのですが、実際に自宅に帰れるのは全体の半分程度だそうです。
もちろん、施設によって差はありますが、今回話を聞いた中ではそうおっしゃっていました。
老人保健施設はこれからも需要はドンドン伸びていきそうですし、脳血管・運動器・精神・高齢者疾患・内部疾患などの幅広い知識も得られる上に地域リハビリや行政の仕組みなど幅広い経験ができるのが魅力ですね!
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