「整形外科と病院の違いって何なの?」
「整形外科はスポーツ障害とかの患者が多くて興味ある!」
「整形外科の給料はどれくらい?働きやすいの?」
理学療法士にとって整形外科の分野は根強い人気を持っています。
ぼくも新入職の時は整形外科クリニックで働いていました。
高校の部活で怪我をして理学療法士に出会って理学療法士を目指した人なんかは『理学療法士=整形外科』という構図が出来上がっているのではないでしょうか。
今回は、整形外科でリハ助手を1年、理学療法士として3年働いたぼくが、病院と整形外科の働き方の違いや仕事内容についてお話します。
今は病院に勤めていますが、仕事内容は結構違うんですよね。
整形外科分野に興味ある人も、そうでない人もぜひ目を通してみてください。
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病院と整形外科(クリニック含む)の働き方の違い
【病院とは】
一般病院、総合病院、大学病院など様々な形態がありますが、一般的には病気やケガで入院している患者に対して理学療法を行う施設の事をいいます。
【整形外科とは】
整形外科(クリニック)は基本的に運動器の疾患の患者の理学療法を行っていく施設のことを言います。
総合病院や地域に根差した小型診療所であることが特徴で、その地域の近所に住んでいる『痛みに悩んでいる方』が対象となります。
病院では入院患者がメイン、整形外科は外来患者がメインとなります。もちろん、整形外科でも入院患者のリハビリをする所も押いので一概にそうとは言えませんが、大まかなイメージはそんな感じ。
理学療法士の病院の仕事内容
病院での理学療法士の仕事は、入院患者への理学療法がメインになります。
病院は急性期・回復期・維持期(療養)にわかれていますが、詳しい仕事の違いはこちらの記事をご参照ください。
病院では1人の患者に対しPT・OT・STが協力して6~9単位(120~180分)の理学療法を実施します。
1日に担当する患者数は8~12人程度で、1日20単位前後の介入を目指しています。
人によっては毎日リハビリをし、自宅復帰・社会復帰を目指していくことを目的とします。
医師・看護師・ソーシャルワーカー・OT・ST・患者・家族などと密にかかわりながら仕事をしていき、患者の機能改善を図ります。
病院は「治療」より「自宅・社会復帰」を考える
病院での理学療法士の目標は、患者を無事に退院させることです。
「治療」も重要ですが、治療するためにリハビリをするのでなく、安全に退院させるために治療する必要がある、といったほうがいいですね。
だから評価も身体機能評価のみならず、家屋評価や社会的評価も重要になってきます。
もちろん、医療保険制度と介護保険制度の仕組みも知っておき、今後の患者の生活をフォローしなければなりません。
自宅に帰るだけが目的じゃなく、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなど、患者さんと家族が安心して生活できるように工夫していくことが大切です。
整形外科クリニックの仕事内容
整形外科クリニックでは主に外来患者に対し1~2単位(20~40分)の理学療法を実施し、1日に担当する患者数は12~20人で1日20単位前後の介入を目指します。
リハビリには運動療法と物理療法の2つがあり、整形外科では物理療法の使用頻度が高いことが特徴。
整形外科クリニックで働くなら物理療法の知識は必須となります。
特徴として、外来が主な患者なので患者に対する介助もほぼ必要ありません。
トイレ介助や起き上がり介助、トランスファーなどはほとんどやる機会はないですね。
トイレ介助が嫌な人、介護業務が嫌な人は整形外科がおすすめです。
自宅での生活というより、患者の訴え(主に痛み)に対して適切な介入をし、QOLを高めていくのが主な目的となります。
だから身体機能評価が重要になってくるし、20分という短い時間でいかに正確に素早く評価できるのか?というスキルがとっても大切なんです!
整形外科クリニックは何より「痛み」を取ることが最優先
整形外科クリニックの理学療法は、痛みを取ることが最優先になります。
患者のHOPEも「○○すると痛い」という訴えが多いので、そこにアプローチしていきましょう。
痛みはなかなか改善しない場合、生活指導も重要です。
急性期なのに無理して仕事をしていたり、安静にしていない方も多いので「なぜ痛むのか」を評価し、調査し、患者に伝えられないといけません。
だから整形外科クリニックの理学療法士は正確でに評価し、正確に患者に症状を分かりやすく伝える能力も必要なんですね。
整形外科の対象疾患
【整形外科で多い疾患】
- 変形性膝関節症
- 肩関節周囲炎
- 腰痛症
整形外科ではこの疾患が70%を占めます。
それ以外には
- 骨折
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
が来るので基本的に運動器疾患がメインです。
たまに子供や脳血管疾患、スポーツ外傷の中高生が来ますが、ほとんど稀です。
高校の近くの整形外科で働いていれば、スポーツをしている子供たちが来るかもしれません。
昔リハ助手をやっていた整形外科では、大型マンションの近くだったからかバスケットボールをやってる小学生が結構来てましたね。
そして、患者の90%以上が痛みを訴えているので、除痛の技術も必須!
ぼくは患者の痛みを抑えるために勉強会にも積極的に参加し、院内でも勉強会は結構な頻度で行っていました。
整形外科と病院の勤務時間と給料の違い
整形外科クリニックの多くは8:30~19:00となっており、休憩時間も120分くらいあります。
仕事帰りのサラリーマンなども病院に来れるように、終業時間は遅めに設定されているところが多いです。
ちなみに一般的は病院は8:30~17:30までで休憩時間が60分の所が多いでしょうか。
早く家に帰りたいのであれば、整形外科はあまりお勧めしないです。
給料は理学療法士の初任給が23.5万円なのに対し、整形外科では25万円程度貰える所が多いです。
ぼくが新人の時は総支給額が27万円+交通費だったので28万円くらいもらえていました。
ただし、基本給が少ないので賞与(ボーナス)も少ないので年収は一般病院とあまり変わらないかもしれませんね。
【新人病院の給与】
- 基本給:20万円
- 調整手当等:4万円
- 賞与(ボーナス):年2回4か月分(夏・冬合わせて80万円くらい)
- 年収:368万円くらい
【新人整形外科の給与】
- 基本給:15万円
- 調整手当等:12万円
- 賞与(ボーナス):年2回2か月分(夏・冬合わせて30万円くらい)
- 年収:354万円くらい
整形外科は毎月の給与は高いですが、調整手当に依存している所が多いです。
月の給与金額の高さに飛びつかず、しっかりと年収ベースで考えましょう。
ちなみに、ぼくはここ以外にも整形外科に面接に行っていますが、そこでもあまり変わりませんでした。
その整形外科では取得単位によって収入が変化するようなところで
- 90単位/週:24万円
- 100単位/週:26万円
- 105単位/週:27万円
と言われました。
どちらがいいかはご自身の判断に任せます。
昇給の有無でも変わりますし、転職すれば給料は飛躍的に上がりますから。
ちなみに良い病院で5年目を過ぎれば、どちらも年収は400万円を超えてくると思われます。
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病院と整形外科クリニックの残業
病院も整形外科も残業はあるかもしれませんが、それは働き方にもよると思います。
理学療法士の平均残業時間は月に6時間程度と言われているので、それくらいはあるかもしれませんね。
理学療法士の残業についてこらの記事でまとめていますので気になった方はぜひご参照ください。
ただし、整形外科クリニックは不意の残業が発生する可能性があることを知ってください。
整形外科クリニックは、物理療法(10分)+運動療法(20分)をするので1人の患者に対する介入は最低30分はかかるんですよ。
仕事帰りにしか来れない患者もいるので、業務終了間際(18時45分とか)に患者が来ると、そこから30分間介入をし、カルテを書かなければならないので終了間際に患者が来るとその時点で30分以上の残業が確定します。
もちろん、患者がこなければ残業はありませんから、いつも帰り際には『もう来るなよ…』と祈ることに…。
だから整形外科を選ぶ際は『診療時間~19:00(ただし、受付は18:30まで)』と書いてある整形外科を選んだほうが精神衛生上ラクですね。
まとめ:病院と整形外科クリニックは目的が違う!
- 病院:安全でみんなが安心できる退院を目指す
- クリニック:痛みという訴えを解消する
病院も整形外科クリニックも、どっちがラクか?とかではなく、それぞれ目的があることを知ってください。
そして、自分がどのような医療サービスを提供したいかで働く場所を決めればいいと思います。
整形外科の仕事内容や働き方はなんとなく理解できたでしょうか?
これから整形外科への入職を目指す方も、転職する方も参考にして頂けると幸いです
ぼくは整形外科で仕事をしてよかったと思いますし、興味を持てたから認定理学療法士(運動器)
の資格も取りました。
当時の記事>>>
平成30年度:認定理学療法士合格発表!運動器認定理学療法士に合格しました!
運動器という基本的な知識の底上げもできますし主任や課長などキャリアアップし、年収500万円を越えることも可能です。
整形外科は魅力あふれる仕事ですので、ぜひ働き口の候補に入れていただきたいと思います。
私は実際にPTOT人材バンクを実際に使ってみて、どんな求人があるのか、そして使い勝手はどうだったのかを体験してきました。
詳しい記事はこちらになりますので、転職をお考えの方はぜひ読んでみてください。
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