訪問リハビリは時給も高く、副業やアルバイトに適しているという話をしました。
1時間4,000円貰えますし、周りの目を気にすることなくできるので意外と働いやすい仕事なんです。
でもそんな訪問リハに突如暗雲が立ち込めました。
業界がざわついたのは1人の理学療法士さんのTwitterでの発言がきっかけ。
訪問は割がいいと言われていたけれど、東京都の最低賃金と並びましたね。
施設・訪問・病院どこがいいという議論はもう過去のものなのかもしれないなぁ。 pic.twitter.com/LiigpqCUiO
— りょーこ@理学療法士 (@ryoko_PT) October 21, 2019
なんと理学療法士の訪問リハの時給が東京都の最低賃金であった、というもの。
確認してみたら本当に最低賃金で募集をかけてる求人をチラホラ発見できました。
10年前は1件5,000円、1日3万円が当たり前だった訪問リハビリがなぜここまで給料が下がったんでしょうか?
理学療法士という仕事がこれからも価値あるものにしていくために、ぼくたちはどうしていかなければならないのか?
1人の理学療法士目線で解説していきます。
副業に最適と言われた高時給の訪問リハビリはなぜ安くなったのか
まず賃金が安くなった理由について考えていきます。
- 訪問リハの供給過多
- 介護報酬改定による収益の低下
- 理学療法士の質の低下
この3点がベースにあると考えています。
訪問リハビリの供給過多
訪問リハビリはひと昔前に比べ、かなり数が増えてきましたね。
街中でも○○ケアとか○○介護ステーションといったステッカーを貼る軽自動車を見かけるようになりました。
2019年現在、東京都内の訪問看護ステーションは1,139件稼働しており、その数は年々増えています。
東京都の人口の内、65歳以上の方は約300万人だそう。
その中で在宅医療(訪問看護・訪問リハなど)を受ける人の人数は33万5000人程。
訪問リハの回数は16,201回/週。
訪問看護ステーションが1,139件ですので、1ステーションあたり14.22回/週です。
1療法士が1日に4~5件回りたいのに、1ステーションで週に14回しか訪問リハ回数がないのであれば、明らかに供給過多と言えます。
同じようなことが、ほかの都道府県にも起こっているので自分の地域状況を把握するのは重要かもしれませんね。
※もちろん、療法士がおらず訪問看護のみ実施しているステーションもあるので、この限りではありません。
介護報酬改定による収益の低下
平成27年の介護報酬改定では、訪問リハビリと訪問看護ステーションにおける理学療法士等の訪問によるリハビリは類似した実態にあるとして、基本報酬を見直しました。
結果的に、ステーションの利益が少なくなり、理学療法士に支払う報酬が少なくなっているものと考えられます。
理学療法士の質の低下
理学療法士の質が年々落ちているので、もちろん報酬も下がっていきます。
でも悪いのは今の若い理学療法士でなく、ぼくを含めた中堅からベテランの理学療法士なんです。
ぼくたちが理学療法で結果を出せなかったり、施設に儲けを出すことができなかったのが原因で理学療法士の報酬は下がりました。
- 理学療法士に高給を与える
- 結果が出ない、利用者が減る
- 理学療法士の報酬を下げる
といった悪循環。
これの何が問題かというと、すでに高給を貰っている理学療法士の報酬はなかなか下がりません。
じゃあどうするかというと、次世代の理学療法士の報酬を下げていくしかないんですね。
ぼくの前の職場も、入職した時は総支給27万円でしたが、いまは24万円だそうです。
今、訪問リハビリの時給が最低賃金になってしまったのは、前の世代の理学療法士が『儲け』という結果を出せなかったことが原因であると考えられます。
訪問リハの最低賃金スタートで考える事
時給が良い!と言われている訪問リハビリが最低賃金スタートになってしまい、とても驚きました。
ファストフードやコンビニのアルバイトと、国家資格をもった僕たちが同等かそれ以下の水準になってしまったという事です。
このままでは本当にマズいと思います。
ぼくたちができることは何なのかを考え、しっかり対策していかなければならないんですよ!
最低賃金のステーションでは働かない!
まずはこれです。
訪問リハの医療・介護報酬は病院よりまだ高めで、理学療法士の報酬もそこまで低くありません。
現に、1件3000円以上で募集しているステーションも多いのが証明していると思います。
なぜ最低賃金しか払えないか?というと、ぶっちゃけそのステーションが経営難である可能性が高いです。
僕たちが理学療法士としての価値を維持していくのであれば、賃金や報酬に妥協してはいけません。
1,013円の仕事を選ぶということは、あなた自身が自分の価値を1,013円であると決めてしまうということ。
もっと自分の価値を高めていく努力が必要だと思います。
会社を儲けさせよう!
なぜ理学療法士お報酬が低いかというと、もうけが無いからです。
僕たちは会社を、ステーションを設けさせなければ賃金は上がりません。
でも理学療法士はリハビリ業務だけやっても稼げないのは明白ですね。
臨床介入だけの話をするとPTはどんなに頑張っても月432単位、80万円ちょっとしか稼げませんからね、法律的に。
そこから病院の運営費やら何やら引いて、儲けも出させようとするとどんなに頑張っても月40万円、年収500万円が限界だと思うんです
それを分かって「給料上げろ」と言っているのかな
— キム兄@まじめな適当ブロガー (@kimkim3150) October 21, 2019
だから別の方法で会社を儲けさせなければいけないんですよ。
その地域や利用者に合った提案や改善をしたり、ケアマネとの関係性を良くしたり…
そうすると、リハビリ介入以外の+αがついてきてステーションの儲けにつながります。
「あのステーションは良いと評判だ」といって利用者が増えれば儲かります。
「あのステーションのPTは仕事しやすい」とケアマネが思えば仕事が増えます。
こういった目に見えない部分での仕事を大切にして、ステーションにとって価値のある理学療法士を目指していく必要があると思います。
これが出来ないと、今後はもっと理学療法士の存在価値がなくなり、時給は下がっていってしまいます。
まとめ:まだ訪問リハは副業としておすすめできる!
訪問リハビリの報酬が最低賃金になった、という話をしましたが、まだごく1部のステーションのみです。
まだまだ訪問リハは稼げる仕事ですし、副業としてもおすすめします。
ただし、しっかりとステーションを盛り上げていかないと次の世代にしわ寄せが行きます。
これから数年後、理学療法士のアルバイト代が上がるか下がるかは僕たちにかかっているという事を忘れないようにしましょうね!
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