介護福祉士を中心とした介護・福祉系のスタッフの6割がボーナスが無く、10割(100%)の人がボーナスに対して不満を持っているという記事を見ました。
【参考記事|PR TIMESより】
これって結構深刻な事態じゃないですか?
介護・福祉系の仕事は
- キツイ
- 汚い
- 危険
の3K職場です。
しかも新3Kである
- 帰れない
- 給料安い
- 厳しい
までも網羅する本当に大変な仕事なんです。
本来であれば、このような仕事はお給料をたくさん貰うべきなのに、なぜ安い賃金で働かなければならないのでしょうか?
そんな満足度の低い職員ばかりの介護・福祉業界の闇に迫ります。
介護福祉士の6割もボーナスが出ないのはなぜ!?
PR TIMESの「◆20~30代の社会人男女に聞く!<夏のボーナスなど「お金」と「美容」への意識調査>【夏のボーナス】4割以上「支給ない」(42.8%) 」という記事では、「ボーナスが出ない」と回答した割合を独自調査で発表しています。
リゼクリニックによるアンケート調査
- 介護・福祉 60.0%
- サービス業 54.4%
- 企画/管理 40.9%
- 事務 34.5%
- 教育 33.3%
- 営業 31.0%
- コンサルタント 26.7%
- 医療 25.9%
- 建築 25.0%
- エンジニア 22.9%
介護・福祉系でボーナスが出ていない割合が60.0%と超高いですが、なんと医療も25.9%という高い割合となっています。
介護・福祉業界にボーナスが出ない一番の原因は「財政難」であると言われています。
現在の介護・福祉関係の予算は7兆円を越える勢い。
介護・福祉を合わせて7.2兆円の予算
しかも年々増加しているもんだから、資金のやりくりに政府は四苦八苦しています。
だから予算を増やしたい!
その予算はどうやって捻出するのか?というと
- 税金として徴収する
- 支出を減らす
事で解決できます。
税金は介護保険料などから徴取されていますが、「支出を減らす」となるとどうなるか。
介護保険の自己負担額を増やしたり、介護点数を減らして施設に支払う金額を減らすことで支出の削減を行います。
当然、施設の収入が減るので、そこで働くスタッフの賞与(ボーナスがなくなる)という仕組みになっています。

詳しく説明すると大変なので簡単に説明していますが、要約するとこんな感じです。↓
【おおまかなボーナスカットの流れ】
- 介護保険事業の予算の圧迫
- 介護保険の支出を減らす
- 施設の収益が減る
- スタッフの賃金がカットされる
実際に市民が支払う介護保険料も2倍に増加している!
実際に賃金カット(ボーナスカット)されている介護・福祉業界の人だけが大変な思いをしているのかというとそうでもありません。
平成30年には介護保険の総支出(自己負担も含む)が10兆円をこえました。
それに伴い、介護保険料も値上げし、初めて6,000円/月を越えるようになってしまったんです。
2000年(平成12年)での全国平均は2,911円だったのに対し、現在は6,000円です。
2025年(令和6年)には8,200円に上るという試算が出ています。
介護保険料が約3倍に!
【厚生労働省|介護給付と保険料の推移】
僕たちも知らない間に20年前より3倍近い保険料を納めていくことになります。
もちろん、所得は3倍になっていないどころか、減り続けています。
合わせて読みたい
理学療法士の年収の平均は407万円!?年収アップさせる方法はあるのか?>>>
だから介護・福祉業界で働いていないからといって、介護系の動きを知らなくていいというわけではないんです。
これは日本全体の問題です。
介護・福祉系の賃金に誰も満足していないのになぜ働くのか?
ここが一番のポイントです。
なぜ介護・福祉関係の人は賃金(今回の話ではボーナス)に満足していないのに、その職場で働いているのでしょうか。
理由はカンタンで、御幣を恐れず言うなら「ほぼ誰でも働けるから」。
もちろん、専門職として知識は絶対に必要ですけど、「介護士」や「ヘルパー」などの資格が無くても介護のお仕事はできます。
そのため
- 働き口がない
- 資格やスキルが無い
- とりあえず仕事が欲しい
という方でも介護職員として働くことが可能。
しかも「パート」ではなく「正社員」として働ける場所も多いので、人気の仕事となっています。
さらに介護職員は慢性的な人出不足なので、ほぼ間違いなく受かる仕事であると言えます。

最初は無資格でもOKだけど、働きながらヘルパー2級を取らせてくれるような職場も多いよ!
無資格でもOKの介護職員だけど仕事は「激務」だから満足度も下がる
無資格でもOKだからと言って介護職員になると、その仕事量に驚くでしょう。
- 介護業務全般
- 入浴介助
- 食事介助
- 排泄介助
- 送迎介助(乗降補助、添乗、可能な方は車両運転)
- 機能訓練補助
- レクリエーションの実施
- 記録業務
これ、全部やるんです。
しかも利用者さんは30人以上。
きついですよー!
それでいて月収の手取りは18万円以下、ボーナスなし、年収216万円。
そりゃ満足度も低いわけですよ。
介護・福祉系のボーナスがゼロで満足度も低い!将来性はあるのか?
以上のように、介護・福祉系の仕事は大変ですし、その恩恵を受けているぼくは介護スタッフには本当に頭が下がる思いです。
しかし、現場環境が良くならなければ今後も同じような事の繰り返しですし、介護・福祉関係のスタッフも増えていかないと思います。
それは政府も十分に理解していますし、徐々に対策を取っているんです。
独立行政法人経済産業研究所ではくらしと健康の調査(Japanese Study of Aging and Retirement, 略称JSTAR)の情報を掲載しています。
このJSTARは
- 高齢者の経済面に関する情報
- 社会面に関する情報
- 健康面に関する情報
など、高齢者の特異性と普遍性を追求することのできる世界標準のデータ調査となっています。
こういった国際公共財を利用することで
- 地域密着サービスの展開(地域包括ケアシステムの機能)
- 介護予防の有用性
- 介護保険の見直しの必要性
- 介護業界の将来性
- 地域格差の普遍性
などをデータ化し、よりよい介護・福祉分野を構築していこうという働きが行われています。
ちょっと難しい話をしましたが、検査・検証を継続して行い、より実用性のある介護保険システムを構築すれば、介護・福祉業界で働く人の生産性の向上につながるのではないかと考えています。

ひとことで言うと、介護・福祉分野に将来性はある!
介護・福祉分野は政府が着目している1つのポイントだ
介護・福祉分野において介護保険制度は非常に重要な位置づけとなっています。
なのになぜ介護分野が遅れを取っているのか?というと、単純にノウハウが圧倒的に足りないから。
年金制度が始まったのが1961年なのに対し、介護保険制度が始まったのは2000年です。
まだまだ歴史の浅い保険制度なので、テコ入れする箇所はたくさんありますし、これからどんどん伸びていく分野であると考えられます。
実際に、政府も外国人雇用や介護ロボットの導入など、変化をし続けています。
【厚生労働省|介護ロボットの開発・普及の促進】
政府も介護保険に関しては無関心ではないですし、サポート体制を整えていますので将来性はかなり高いと感じています。
特に2025年問題(団塊世代が75歳以上になる)までに、急ピッチで多くの対策を打ち出してくるはず。

今は大変かもしれませんが、働く環境は好転すると思います。
いまの介護・福祉業界を支えてる皆さんには本当に感謝しかありません。
そんな介護・福祉業界で頑張る皆さんの為に、政府の皆さんもしっかりと環境改善に努めてください!
よろしくお願いいたします!