理学療法士として働いていても、給料は大して貰えません。
その理由は、理学療法士は診療報酬から計算して給料を貰っているから。
診療行為の代償として医者または病院が受け取る報酬のこと。
日本の社会保険医療では,医療費の支払いに「現物給付」というシステムを取っているので,医者と患者の間には,一部負担金を除いて現金の授受は存在しない。
つまり、我々ががリハビリをすると、病院が受け取れるお金は決まっているということ。
しかも、小売業のように売れば売るほど儲かるわけではありません。
理学療法士は「1日24単位以下または週108単位以下」という制限が掛けられているので、一定以上はどうしても稼ぐことができないんです。
理学療法士が1か月で稼ぎ出すお金=稼働額
医療保険ベースで考えると、理学療法士は疾患別運動療法で医療点数を取り、売り上げとして計上しています。
【1単位(20分)あたりの医療点数】
- 脳血管疾患:245点
- 運動器疾患:185点
- 廃用症候群:180点
- 呼吸器疾患:175点
- 心大血管:205点
※全て施設基準Ⅰの場合
この点数に×10円することで、請求額が決まります。
理学療法士は1日8時間働いていますが、その全ての時間でリハビリすることが出来ません。
理学療法士の取得単位は決まっており
- 24単位/日以下
- 108単位/週以下
の両方をクリアしていないといけません。
つまり、理学療法士は最大で週108単位、1か月420単位程度しか単位を取れないという事になります。
理学療法士の取得単位のMAXが週108単位であり、最も医療点数が高い脳血管疾患で計算したとしても週に26万4600円、月(4週)に換算しても105万8400円。
この1人の理学療法士が実際に稼ぎ出す金額を「稼働額」といいます。
一般的な病院であれば、1人当たり75万円から80万円の稼働額を稼ぎ出すはずです。
この金額がそのまま理学療法士の懐に入ればいいのですがそうはいきません。
- 病院の運営費(電気・水道・ガス等)
- 雑費(プリンターインク、印刷用紙、付箋、ペンなど)
- 人件費(医事課、総務課、掃除の方など)
これらのお金を賄わなければいけないので、105万円稼いだとしてもその半分以下の金額しかあなたの給料に反映されないんです。
つまり、100万円どころか50万円だって稼ぐのは無理なんです。
単位取得以外で稼ぐ「書類業務」
理学療法士は単位以外で稼ぐ方法として書類業務があります。
- リハビリテーション実施計画書:月1回300点
- 目標設定支援等管理料:3か月に1回250点
- 退院前訪問指導料:1回のみ580点
こういった業務をキッチリすることで、理学療法士の売り上げが上がります。
しかし、いくら理学療法士がお金を稼いだとしても病院は「運営費」が必要であり、理学療法士が稼いだお金を全て理学療法士に還元するのは難しいです。
一般的には稼いだ金額の25~35%が理学療法士に支払われることになると思います。
ちなみに、私は月に82万円程度の稼働額で働き、総支給は33万円くらい。
参考までに。
理学療法士ができるだけお金を稼ぐ「訪問リハビリ」
理学療法士がお金をできるだけ稼ぐ方法のひとつに訪問リハビリがあります。
訪問リハビリの医療点数を紹介しますと
- 1単位:290点
- リハマネ加算(Ⅰ):330点/月
- 短期集中加算:110点/日
訪問リハは病院に比べ運営費が安く、理学療法士にバックされる金額も多いんです。
70件(210単位)までは固定給で、その後は歩合と言う形で1件(3単位)の訪問で5,000円前後のお給料を貰えるので、訪問リハビリであれば大きく稼ぐことが出来ます。
月100件(300単位)程度の訪問リハビリで40万円以上の給料を貰える場合もあるので、条件の良い訪問リハビリで働くことでガッツリ稼ぐことが出来ます。
訪問リハビリの求人はマイナビコメディカル にたくさん載っているので、ちょっと覗いてみるのも面白いですよ!
稼げない理学療法士は不要になる?
ここまでの話で、理学療法士は稼働額を意識しなければならないという事が分かりましたね。
でも稼働額には限界がありますし、給料に大きく反映はされません。
だからと言って、稼がないと病院は運営できません。
1人当たり75万円の稼働額を確約できるから、我々は雇われているんです。
この金額が70万円、65万円となった時、あなたはクビを切られるでしょう。
なぜなら、職場の所属長は毎月の稼働額を病院に報告しているから。
10人の職場で750万円がボーダーラインです。
そんな中、1人だけ60万円しか稼げていないスタッフが居たらどうでしょう。
当然、稼げるスタッフと入れ替えるか、最も稼げていないスタッフを解雇して9人で仕事をさせると思いませんか?
病院で最もお金がかかるのは人件費ですから。
理学療法士は将来性はあるが大きく稼げない
理学療法士は需要はあります。
ただし、稼げるか?と言ったら微妙です。
今後、医療保険や介護保険の改定があると思いますし、点数が下がれば結果的に給料も下がると思います。
とはいえ、仕事を選べばまだまだ給料の良い職場はあり、訪問リハであれば月40万円以上稼げる職場もありますし、病院でも月30万円以上貰える職場もあります。
まずは年収450万円を目指してみてはいかがでしょうか?
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今の給料に満足していないのであれば、これらの転職サイトを活用してみるのも1つの手段です。