リハビリは1単位20分です。
その時間を偽って記載すると、とても大変なことになります。
今回は、ある病院で起こった『単位時間の偽装』についてご紹介すます。
理学療法士が施術時間を偽装し処分を受けた例
京都府南丹市八木町の京都中部総合医療センターは7日, リハビリ業務の一部を怠ったとして, リハビリテーション科の50代理学療法士を3カ月の減給処分にしたと発表した。
同センターによると、職員は1月末から2月中旬にかけ、複数の患者に対し,所定時間より10〜20分短いリハビリを計約50回行っていた職員は「不調で休憩を取ることが多く, 開始の遅れにつながった」 としているという.監督に不備があったとして50代上司も戒告とした.
京都新聞の記事を簡単に説明すると、こんな感じのことが書かれています。
要は、本来なら60分実施しないと3単位取れないのですが、40〜50分しかリハビリをしていないのに3単位とっていた、ということだと思います。
20分未満のリハビリでは1単位は請求できない
病院で働く理学療法士・作業療法士にとって当たり前の話ですが、診療報酬上は疾患別リハビリテーションに関わらず、20分以上のリハビリテーションサービスを提供することで、1単位を算定することができます。
1単位は20分以上ですので、仮に19分30秒のリハを実施したとしても、1単位を請求することはできません。
30分のサービスを提供した場合は、1単位を請求して残りの10分はサービスということになります。
このブログの中でも過去に1単位のルールについてご紹介させていただきました。
リハビリテーション実施時間の不正が発覚した原因
なぜリハビリテーション実施時間の短縮が発覚したのでしょうか?
理由はいくつか考えられます。
- 監査による指摘
- 患者による指摘
- 同僚による指摘
これらの可能性が考えられます。
医療監査による指摘
医療監査は原則的に年に1度実施されます。
ここで何らかの疑問を実施員にもたれて発覚する可能性があります。
例えば
- リハ実施時間が被っている
- 病院が算定した単位数とカルテ上の単位数が違う
- 勤務時間と取得単位数が合わない
などです。
1人当たりのクライアントのリハビリテーションの実施時間を測定しなくても、21単位取得しているにもかかわらず15時には仕事が終わっているなんて状態であれば、不正請求を行っていることは明白です。
時間の計算が合いませんからね。
実際にスタッフがどう動いているかはすぐにわかります。
- 廊下の監視カメラ
- パソコンの入力時間
- カルテを開いた時間
あなたは監視されています。
患者による指摘
患者が『今日はリハ時間が短い』『他の患者に比べて短い』『明細に記載されたリハ時間に疑問』などの指摘からバレる場合もあります。
リハビリが20分単位であることは調べればすぐにわかりますし、『毎日15分しかリハしてくれない』などと医師や看護師に相談することで発覚します。
同僚による指摘
リハビリテーション室で一緒に仕事をしていれば、明らかにリハビリテーション実施時間が取得単位数に比べて短いことはわかります。
『あの人はいつも5分前にリハを終わらせてる』と内部からの告発があればすぐにバレてしまいます。
組織的にリハ時間を捏造する
組織的に実施時間を短縮させて、超過勤務を発生させることなく取得単位数の増加を求める職場も存在します。
物理療法しかしてないのに疾患別リハを算定したり、1単位15分で回させてカルテ上は20分で記載させたり。
職場によっては組織ぐるみでリハビリテーション実施時間を短縮させているところもありますので、個人ではどうにもならないところもあるのでしょうね。
そんなブラックな職場は早く辞めてしまった方が安全だと思います。
普通に訴えられたら負けます。
まとめ
今回は京都府の医療機関でリハビリテーション実施時間の不正で減給処分が下されたニュースに関して考えてみました。
今回の報道をきっかけにリハビリテーション実施時間について、われわれ理学療法士・作業療法士も襟を正す必要がありそうですね。
当たり前のことを当たり前にすればよいわけなんですけどね。
リハ時間を不正すると、かなり重い罰が与えられます。
- 減給処分
- 謹慎処分
どちらかです。
さすがに免許取り消しまでは行きませんが、バレると職場に居づらくなるので自主退職するケースも多いでしょうね。