私は訪問看護ステーションで訪問リハビリのアルバイトをしていた経験があります。
当時、私は回復期病院で働いていたのですが、患者さんが退院する時にふと「このまま無事に生活してくれるかな…?」と不安になることもあったんです。
もちろん、そのまま元気に過ごす方もいれば、3か月後くらいに再転倒して入院してくる方もいます。
病院では患者の実生活までは見ることができないんですが、訪問リハビリではその「患者の生活」が見れるんですよね。
だから理学療法士として最終的に行きつく場所が、患者の実生活を見ることのできる「訪問リハビリ」になるんです。
全ての理学療法士は1度訪問リハビリを経験してほしいですね。
転倒や怪我は屋外や運動中に起きてるんじゃない!
70%は住み慣れた自宅内で起きているんだ!#踊る大捜査線風に
— キム兄@ノー残PT (@kimkim3150) January 5, 2020
そんな訪問リハビリって実際にどんな感じなの?
仕事内容や働き方、どんなメリットがあるの?という話をしていきます。
理学療法士は訪問リハビリでどういう仕事をするの?

自宅に訪問してリハビリします
訪問リハビリはセラピストが自宅に訪問し、リハビリを提供するサービスのことで、介護保険で賄われています。
我々は、入院後の在宅生活において
- 安心な生活の提供
- 自宅での生活困難の改善
- 身体機能の維持・向上・評価
を目的に取り組んでいきます。
入院生活が終わったからと言って、患者は元通りの体になるわけではありませんね。
不安を抱えながらの生活になるのですが、病院でリハビリをしていたスタッフにその状況を把握することはできません。
そこで、訪問リハビリとして患者(訪リハスタッフは利用者と呼ぶ)の在宅生活を評価し、不安なく生活できるようにサポートする訳ですね。
訪問リハビリでの仕事内容
理学療法士の主な仕事は以下の通りです。
- 利用者のバイタルチェック
- 身体機能の評価、機能回復訓練
- ADLのチェック、訓練
- 生活環境の改善
- 異常や問題点のケアマネへの報告
- 家族指導、メンタルケア
- 担当者会議の出席
- 計画書・報告書などの書類業務
理学療法士や作業療法士などの垣根がなく、全てのリハビリスタッフがこのような業務をこなします。
私の勤めていた訪問看護ステーションには言語聴覚士もいる珍しいステーションだったので非常に良い勉強ができました。
在宅でのPT・OT・STの考え方を知るのも、訪問リハビリの魅力の1つだと感じます。
うちの病院は学生が訪問リハビリに同行しないんだけど、訪問スタッフの考え方や行動を見るほうがこれからの世の中役に立つと思いますね。
利用者の入院後の生活や地域包括や介護予防について理解と知識がある学生や新人は絶対強い!
病院しか知らないPTは…ね。
— キム兄@ノー残PT (@kimkim3150) January 6, 2020
病院の訪リハとステーションからの訪リハの違い
訪問リハビリは、病院から出向く場合と訪問看護ステーションなどから出向く場合の2種類があります。
病院・医院からの訪問リハ
指示医は基本的には事業所の医師になることが多いく、医師と連携が取りやすい環境です。
つまり、リハ実施に伴うリスク面や指示内容の更新がスムーズに行えるのが特徴。
理学療法士はその病院のスタッフとして働くので、給与は病院の規定によりますしインセンティブもありません。
訪問看護ステーションからの訪問リハ
指示医は利用者様のかかりつけ医に訪問看護指示書を書いていただく形になります。
リハビリについての指示はほとんどセラピストに丸投げされることも。
看護師の体制が十分なので、積極的に看護師との連携が必須。
給与はステーションの規定に則るので、インセンティブ等あり月収40万円以上貰える場合もあります。
理学療法士が訪問リハビリで働くための必須能力
訪問リハビリって病院と違って近くに医療スタッフがいません。
相談できる相手も現場にはいないので、すべて自分でマネジメントする必要があります。
- この件は誰に報告したらいいのか?
- 優先順位はどうか?
- 訪リハ以外にどんな社会的資源を活用しているのか?
これらを知っておく必要があります。
自分でマネジメントできる能力が身につくのも訪問リハビリのメリットだと感じますね。
また、近くに先輩や上司がいないので、否が応でもリスク管理能力が身に付きます。
ある時、私が訪問リハビリで介入しようと足を触ったら違和感を感じました。
熱感・腫脹・皮膚の変色・激痛があったので「もしや?」と思い医師とケアマネに連絡し、すぐに救急車で運ばれていきました。
結果、骨折していたということがあります。
このようにまずは身体状況を観察するクセが身につくので、リスク管理能力がかなり身につくのもメリットではないでしょうか。
訪問リハビリで働く理学療法士の残業
私は訪問リハビリでは残業を少ししていました。
介入中にカルテ記入は出来ますが、さすがに計画書や報告書の作成は現場ではできないのでステーションで処理することになります。
月末なんかはかなりの数に昇りますので、だいたい月に1~2時間くらいは残業していました。
ちなみに正社員はもう少し残業が多くなりますが、コツコツと作成しておけばそこまで大変じゃないはず…。
また、訪問実績を残すためにステーション内のパソコンに、患者の状況を打ち込む作業もあります。
これがなかなか大変で、1患者当たり5分前後かかるため6人の担当であれば30分の残業。
細かな仕事も多く、かつ、リハビリの時間を自分でコントロールできない(コントロールするとすれば移動時間を短くすることくらい)ので、残業は意外と多いです。
また、患者の住む場所によっては移動時間があるため、残業になってしまうケースもあります。
その場合、17時までの勤務で、17時までリハビリ時間がかかってしまう場合ステーションに戻る時間が無駄なので、直帰できるシステムを採用しているステーションも多いです。
訪問リハビリで働く理学療法士の給料
訪問リハビリの給料は高いです。
訪問リハビリはインセンティブがつきますので、月に100件(1日5件)の訪問をコンスタントに続ければ年収500万円は楽勝でクリアしていきます。
新人でもそこそこ貰えるはずですけどね。
訪問件数が増えれば。
ちなみに私がアルバイトしていたところは時給3,600円でした。
他スタッフの年収も460~520万円くらいだそう。
訪問リハビリは稼げます!
私がいま勤務している病院でも、収入アップの為に訪問リハビリに転職していった人がいます。
病院勤務では越えられない年収も、訪問リハビリに転職するだけであっさりと超えることができるんです。
訪問リハビリに勤める魅力
訪問リハビリに勤める魅力は大きく2つあります。
魅力①患者の退院後の生活を見ることができる
1つめは、患者の退院後の生活を見ることができること。
どうしても病院で働いていると、退院したら「はい終了!」!となることが多いです。
病院のほうが自宅より安全ですし、食事やシーツ交換もしてくれるのでラクなのは間違いないですよね。
そんなところで生活してた人が、いきなり自宅で安全に生活できるか?というと疑問じゃないですか?
病院では退院前に「在宅生活」を想定していろいろアドバイスしますが、想定外の事も多々あると思うんです。
以前、私の患者は重度の片麻痺と高次脳機能障害で、「自宅での排泄は困難である」という報告書を書き、退院させました。
しかし、家族の協力もあり今では重介助ながらトイレで排泄してるとか!
在宅では私たちの想像もしないことが起こります。
もちろん、良いことばかりでなく悪いことも起こるでしょう。
患者が退院した後の生活、知りたくないですか?
自分のリハビリが正しかったのか、見てみたくないですか?
訪問リハビリはこの部分を見ることができるのが魅力です。
魅力②訪問リハビリに従事している理学療法士が非常に少ない
2つめは、訪問リハビリに従事している理学療法士が非常に少ないこと。
理学療法士協会の統計では、119,525人の会員数の内、訪問リハビリに従事している人数は1,527人とされています。【統計情報|日本理学療法士協会】
たったの1.2パーセントですよ?
訪リハスタッフは希少価値が高いです!
これから在宅や地域包括支援、介護予防の重要性が高まっていく中で「訪問リハビリをしたことがある」という理学療法士の希少性はかなり高い。
これからますますこの分野の重要性が叫ばれていきますので、今から訪問リハビリで経験を積んでおくのは選択肢としてかなりアリですよ!
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まとめ:理学療法士が訪問リハビリに転職するなら今!
訪問リハビリへの転職はハードルが高いと考えがちですが、そんなことありません。
臨床で3年経験を積んでから訪問リハビリに行こう!なんて考えるんじゃなくて、思い立った今こそ転職していいと思うんです。
訪問リハビリは思ってるより敷居は幾位ですし、問題があれば必ずステーションのスタッフやケアマネが助けてくれます。
全部訪問しているスタッフが1人で解決しなければいけない、という事はないので、まずはどんな求人があるかチェックしてみることをおすすめします。
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