近年、高齢化社会の進展に伴い、在宅医療の需要が増えていることから、理学療法士が訪問リハビリに転職する人が増えています。
また、収入も良く働く時間も調整しやすいことから転職先としてとても人気がある分野です。
今回は、なぜ訪問リハビリの人気が高まっているのか?を解説していきます。
訪問リハビリが人気の理由
給与が良い
理学療法士の平均年収は約407万円で、多くの理学療法士が380~430万円の間の給料を貰って働いています。
しかし、訪問リハビリで仕事をすれば平均給料なんてたぶん新人でもクリアできます。
訪問リハビリの給料は高いんです。
病院で働く理学療法士は、運動器Ⅰであれば20分で1,850円分を算定できます。
でも訪問リハビリは、20分で3,070円分を算定できます。
つまり訪問リハビリは、病院と比べると同じ時間のリハビリをしたら、病院の倍の金額を算定できるんです。
だから給料は高いんです。
しかも訪問リハビリはインセンティブがつきます。
1件(1時間)当たり3,000~4,000円のインセンティブが一般的なので、月に100件(1日5件)の訪問をコンスタントに続ければ月収は40万円以上、年収500万円は楽勝でクリアしていきます。
私がいま勤務している病院でも、収入アップの為に訪問リハビリに転職していった人がいます。
病院勤務では越えられない年収も、訪問リハビリに転職するだけであっさりと超えることができるんです。
訪問リハビリは需要が高い
訪問看護ステーションを中心とした訪問リハビリ分野は年々需要が増加しています。
団塊世代が後期高齢者となり、少子高齢化が進む中で国は在宅医療を推し進めています。
まだまだ在宅分野は人手不足な状況が続いており、大手企業や運営母体がどんどん訪問リハビリ分野への進出をしています。
このように、需要に対して供給が間に合っていないのが現状。
逆に、大きな病院の回復期などはある程度人員が揃ってきているので、あまりスタッフを必要としていません。
もちろん求人はあるのでしょうが、需要はそこまで大きくはありません。
なお、訪問リハビリに従事している理学療法士の数は、理学療法士協会の統計で、119,525人の会員数の内、訪問リハビリに従事している人数は1,527人とされています。【統計情報|日本理学療法士協会】
たったの1.2パーセントしかいないみたいです。
だから訪リハスタッフは希少価値が高いです!
これから在宅や地域包括支援、介護予防の重要性が高まっていく中で「訪問リハビリをしたことがある」という理学療法士の希少性はかなり高いです。
これからますますこの分野の重要性が叫ばれていきますので、今から訪問リハビリに移って基礎を築いておくというのは、アリだと思います。
理学療法士は訪問リハビリでどういう仕事をするの?

自宅に訪問してリハビリします
訪問リハビリはセラピストが自宅に訪問し、リハビリを提供するサービスのことで、介護保険で賄われています。
訪問リハビリは、退院後の在宅生活において
- 安心な生活の提供
- 自宅での生活困難の改善
- 身体機能の維持・向上・評価
を目的に取り組んでいきます。
退院したからと言って、患者は元通りの体になるわけではありませんね。
不安を抱えながらの生活になるのですが、病院でリハビリをしていたスタッフにその状況を把握することはできません。
そこで、訪問リハビリとして患者(訪リハスタッフは利用者と呼ぶ)の在宅生活を評価し、不安なく生活できるようにサポートする訳です。
訪問リハビリでの仕事内容
理学療法士の主な仕事は以下の通りです。
- 利用者のバイタルチェック
- 身体機能の評価、機能回復訓練
- ADLのチェック、訓練
- 生活環境の改善
- 異常や問題点のケアマネへの報告
- 家族指導、メンタルケア
- 担当者会議の出席
- 計画書・報告書などの書類業務
訪問リハビリでは、理学療法士や作業療法士などの垣根がほとんどなく、全てのリハビリスタッフがこのような業務をこなします。
訪問リハビリの給与形態
通常、給料は毎月決まった額が支払われる固定給だと思います。
要は頑張っても頑張らなくても、給料は同じだということです。
しかし訪問リハビリの場合は固定給+歩合であることが多いです。
つまり、頑張って働いた分だけ給料が上がるということ。
基本的には、固定給が高い所を選ぶべきですが、仕事量によってはかなりの額を稼ぎ出すことができるのも訪問リハビリの魅力です。
私の後輩は、訪問リハに転職して月に45万円、年収600万円も稼いでいる人がいます。
これくらい稼ぐには、利用者が多くて効率よく回れる(都会や集合受託の利用者が多い所)を探す必要がありますが、それにしても600万円は凄いですね。
病院勤務で年収600万円は、ほぼ無理だと思います。
訪問リハビリの勤務形態
訪問リハビリは、基本的に日曜・祝日休みです。
その他、1日希望日に休めるところが多く、夏季休暇や年末年始休暇を合わせると年間休日数は120日前後の所が多いようです。
勤務時間は8:30~17:30または9:00~18:00までが多く、残業は少しあるようです。
介入中にカルテ記入は出来ますが、さすがに計画書や報告書の作成は現場ではできないのでステーションで処理することになります。
特に訪問リハビリは書類が多く、月末なんかはかなりの数に昇ります。
細かな仕事も多く、患者の住む場所によっては移動時間があるため、残業になってしまうケースもあります。
その場合、17時までの勤務で、17時までリハビリ時間がかかってしまう場合ステーションに戻る時間が無駄なので、直帰できるシステムを採用しているステーションも多いです。
病院の訪問リハと訪問看護ステーションの訪問リハの違い
訪問リハビリは、病院から出向く場合と訪問看護ステーションなどから出向く場合の2種類があります。
病院・医院からの訪問リハ
指示医は基本的には事業所の医師になることが多いく、医師と連携が取りやすい環境です。
つまり、リハ実施に伴うリスク面や指示内容の更新がスムーズに行えるのが特徴。
理学療法士はその病院のスタッフとして働くので、給与は病院の規定によりますしインセンティブもありません。
訪問看護ステーションからの訪問リハ指示医は利用者様のかかりつけ医に訪問看護指示書を書いていただく形になります。
リハビリについての指示はほとんどセラピストに丸投げされることも。
看護師の体制が十分なので、積極的に看護師との連携が必須。
給与はステーションの規定に則るので、インセンティブ等あり月収40万円以上貰える場合もあります。
理学療法士が訪問リハビリで働くための能力・技術
訪問リハビリは、病院と違って近くに医療スタッフがいません。
相談できる相手も現場にはいないので、すべて自分でマネジメントする必要があります。
- この件は誰に報告したらいいのか?
- 優先順位はどうか?
- 訪リハ以外にどんな社会的資源を活用しているのか?
これらを知っておく必要があります。
自分でマネジメントできる能力が身につくのも訪問リハビリのメリットだと感じますね。
また、近くに先輩や上司がいないので、否が応でもリスク管理能力が身に付きます。
ある時、私が訪問リハビリで介入しようと足を触ったら違和感を感じました。
熱感・腫脹・皮膚の変色・激痛があったので「もしや?」と思い医師とケアマネに連絡し、すぐに救急車で運ばれていきました。
結果、骨折していたということがあります。
このようにまずは身体状況を観察するクセが身につくので、リスク管理能力がかなり身につくのもメリットではないでしょうか。
訪問リハビリの転職先を探す方法
訪問リハビリの仕事を探すには、どこでも良いわけではありません。
稼げる事業所(利用者が多く訪問に時間がかからない)であり、かつ通いやすい所がいいですよね。
もちろん、インセンティブの金額や1日当たりの訪問件数も重要となります。
しかし、そういった内容は求人票に載っていないことが多く、ホームページを探そうにもホームページ自体が存在しない事業所もあります。
なので、訪問リハビリの求人を探すときはPT・OT・ST WORKERを活用することをおすすめします。
転職しようとしても、給与形態や訪問件数、インセンティブの額なんかは聞きにくいです。
でも転職サイトを活用すれば、転職エージェントはすでにその情報を持っていますし、なんなら代わりに聞いてくれます。
訪問リハビリへの転職はハードルが高いと考えがちですが、そんなことありません。
思ってるより敷居は低いですし、ステーションのスタッフやケアマネが助けてくれます。
全部訪問しているスタッフが1人で解決しなければいけない、という事はないので、まずはどんな求人があるかまずはチェックしてみることをおすすめします。