歩行の介助は「身体機能」「体調」「場所」などによって変化します。
リハビリでの歩行介助の主な目的は「できない動作の補助をする」こと。
例えば、重心移動ができない患者の体軸をコントロールしたり、足を振り出せない人の中殿筋をグリップしてみたり。
我々が歩行介助するには、患者の評価なくして実施できません。
私たちが介助することで、患者が「歩きにくい」と思ってしまったら全く意味が無いですからね。
あなたの歩行介助は正しく実施できているでしょうか?
ここではリハビリで介助歩行をする際の考え方と注意ポイントをお伝えしていきます。
リハビリで歩行の介助をする際の考え方
- 歩行のゴールを考える
- 介助方法を考える
- どこで歩くか考える
歩行のゴールを考える
患者の疾患や機能障害から、ゴールを適切に考えましょう。
リハビリですから、患者の持つ能力を限界まで引き上げてあげたいですよね。
- 杖の使用は?
- 装具の着用は?
- 屋外歩行は?
- 公共交通機関の利用は?
- 階段昇降は?
患者の機能回復を予測し、ゴール設定を明確にします。
そうすることで、今すべきリハビリがどんなプログラムになるかが分かってきます。
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介助方法を考える
介助方法は、どこにどの程度介助すれば、自分が想像した歩行になるのか?を考えます。
それと同時に、他スタッフや看護師、患者の家族に指導する時のことも考えて実践していきましょう。
あなただけしか介助できないのでは意味がありませんからね。
- 的確で
- 安全で
- 誰でもできる
介助方法を考えながら実施していきましょう。
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どこで歩くか考える
歩行介助するにしても、単に訓練室を歩いていればいいのでしょうか?
患者の退院後の生活や状況を考えながら、練習する場所にも気を配りましょう。
- 階段
- 狭い/広い廊下
- 屋外
- 人混み
いろいろなシチュエーションが考えられると思います。
より実践・日常生活に近い状況を作り出し、歩行練習をしましょう。
リハビリで歩行の介助をする際の注意ポイント
- 転倒リスクをなくす
- 歩行に必要な機能を補う
- 二次的疼痛を回避する
転倒リスクをなくす
患者は片麻痺でも骨折でも、歩行に関する恐怖感を持っています。
恐怖感=転倒なので、私たちは転倒に対する配慮を十分に行っていかなければなりません。
患者が安心して歩行できる、もしくは身を任せることができて、初めて歩行練習の効果が発揮できます。
患者がビビってるようではダメです。
「怖がらないで足を出して!」というセラピストもいますが、怖がらせてるのはあなたであるという事に気づいてください。
「怖がらないで足を出して!」というセラピストへ
怖いのは患者が悪いんじゃなくて、キミの立ち位置や介助方法が怖いんだぞ
気づいてくれ
— キム兄@ノー残PT (@kimkim3150) December 8, 2019
歩行に必要な機能を補う
歩くために必要な機能は何でしょうか?
そして、その患者にとって不足している機能は何でしょうか?
これを理解し、不足している機能を補うことが私たちの介助歩行に求められます。
時には装具や歩行補助具を利用することもいいでしょう。
ボバース法などを学んでいると装具を外したくなりがちですが、装具は敵でなく味方なので有効活用しましょうね。
二次的疼痛を回避する
片麻痺患者などは非麻痺側で動作を力任せに行う事が散見されます。
そうすると、非麻痺側の痛みが出てきてしまい、全く動けなくなってしまうことも。
私たちは適切な動作指導を行い、二次的な疼痛や障害の発生を抑制することが求められます。
まとめ:「歩行」では誰にも負けたくない
理学療法士ですから、「歩行」に関しては他職種に負けたくないですよね。
「負けない」というのは深い知識や難しい技術でなく、当たり前のことを真摯に実行できるか?だと思います。
実は当たり前の事こそ、みんな考えられずに失敗しています。
この記事で挙げた「当たり前」を丁寧に実践していくことが、理学療法士としての力量と信頼性を高めていくんです。