階段昇降のリハビリ|臨床での目的・方法・効果・介助方法まとめ




階段昇降ができれば、室内は自由に移動できる。

 

階段昇降練習はリハビリでも重要な練習として位置づけられています。

たとえ「老健」や「平屋の家」に変える患者であっても、階段昇降訓練は必須。

なぜなら、階段の上り下りが一人でできるレベルが、室内(病院内)を自由に歩き回れる基準になるから。

 

また、たとえ平屋の家でも、日本に住む以上階段昇降(段差昇降)の動作は必須項目となります。

もっと階段昇降のリハビリに着目して取り組んでいくことで、患者の在宅復帰率はグッと上がってくるかもしれませんよ!

 

ここでは階段昇降のリハビリについて『目的・方法・効果・介助方法』をまとめてみました。

 

階段昇降のリハビリ

階段昇降のリハビリは比較的早期から取り入れることを目標にしています。

ある人工関節センターでは術後5~7日で階段昇降練習を始めるとか。

 

階段昇降は日常生活で階段を上り下りする際に必要なのは当然ですが、それ以外にも様々な所で役立ちます。

思い出してください。

 

あなたの家に入るとき、玄関までに段差はありませんか?

よくある玄関前

日本の家屋は、地面より数十センチ高い部分にドアを設置するようになっているので、どの家も段差が2~3段あるはず。

この時点で、平屋だろうがなんだろうが階段昇降練習は必須であると言えます。

 

リハビリでの階段昇降の目的

目的
  • 安全な段差昇降の獲得
  • ADL範囲の拡大
  • 体力強化
  • 血管・筋肉への負荷

地域在住高齢者における階段昇降動作が 運動機能と活動量・心身機能に及ぼす影響について|J-Stage>>>』では、階段昇降が自立していない患者は移動制限の可能性が示唆され、さらには要介護認定のリスクが高いとされている。

つまり階段昇降を自立できるか否かは、単に階段を上る必要性の有無だけでなく、身体機能の向上や活動範囲の向上、介護予防にも一役買っていると言えます。

 

リハビリでの階段昇降の方法

階段練習に取り掛かるタイミングは、平衡棒内で歩行が安全にできるレベルの時点で開始します。

平行棒で安全に歩ければ、階段も両手で把持できる手すりがあれば移動することは可能。

ただし、まずは1~3段から徐々に始めていくことをおすすめします。

 

  1. 両手手すりを把持し、10cmの段差を1~3段往復する
  2. 両手手すりを把持し、18cmの段差を1~3段往復する
  3. 片手手すりの練習を始める
  4. 実際に病院の階段などで練習する

 

といったステップを踏んでいくと患者も安心して階段練習に取り掛かれます。

 

リハビリでの階段昇降の効果

効果
  • 有酸素運動
  • 全身持久力の向上
  • 筋力強化
  • バランス能力の向上
  • 心拍出量増加
  • 協調性運動
  • 認知機能向上

階段昇降のリハビリは様々な効果が認められますが、特筆すべきは筋力増強と認知機能の向上です。

 

『基本動作(階段昇降、歩行動作など)訓練が筋力増強に及ぼす効果について|J-Stage>>>』では階段昇降は効率良く筋力強化を図れることや歩行の協調性や制御が自動的に行われるとしている。

また、『認知症に対する運動および身体活動の効果 – J-Stage>>>』ではAD 評価尺度・認知機能検 査(Alzheimer’s Disease Assessment Scale-Cognitive Section:ADAS-Cog)を用いて評価した結果、 通常ケア群に比べて介入群で優れていたという報告もある。

 

階段昇降は筋力強化や認知機能の改善に優位に働くと言えます。

 

リハビリでの階段昇降の介助方法

階段昇降の危険場面は

  1. 足が段に十分に乗らず踏み外す
  2. 段下への転落
  3. 膝崩れ

が挙げられます。

誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?

 

介助のポイント
  • できるだけ近い位置で介助する
  • 患者より1段下がって介助する
  • 足を出す順番を十分指導する

これを守ってください。

また、患者の腰や腋下を支えるのも忘れないように。

階段昇降は危険を伴う練習ですので、絶対に気を抜かないようにしてくださいね!

 

まとめ:階段昇降のリハビリはどんどん実施しよう!

階段昇降は階段を上ったり下りたりする目的以外にも様々な効果があることが分かったと思います。

私も階段昇降練習はガンガンやる派ですが、階段を登れる人とそうでない人ではやはり活動範囲にかなり差が出ているように感じます。

 

階段練習をあまりやらなかった症例は、特に自宅に帰ったからの活動範囲が狭まる傾向にあり、訪問リハビリなどで自宅にお伺いすると良くわかりますよ。

 

私は独歩で歩いて自宅退院を目指す場合、往復100段の昇降(上り50段・下り50段)を目指しています。

ここまでやれば、患者は退院した後も臆することなくバスや電車で出かけられますし、歩いて私に会いに来てくれることもあります。

 

階段昇降は身体機能の改善を図るうえで重要だ、という事に気づいてください。

そしてぜひ、明日からのリハビリメニューに取り入れてみてください。