この記事は2018年に3学会合同呼吸療法認定士に合格した同僚のスタッフが監修しています。
【「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度】
吸入療法、酸素療法、呼吸理学療法及び人工呼吸などの呼吸療法は、今や日常の重要な治療手段のひとつとして広く普及が望まれています。
しかし、これら呼吸療法の実際に精通した医療要員の不足があげられ、このことが呼吸療法普及の大きな障害となっています。
「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度はそれぞれの職種において呼吸療法を習熟し、呼吸管理を行う医療チームの構成要員を養成し、かつそのレベルの向上を図ることなどを目的としています。
【公益財団法人医療機器センター】
呼吸療法認定士の資格試験に必要な内容をまとめました。
呼吸療法認定士の試験範囲はかなり広く、テキストもメチャクチャ分厚いのですが、その中でも絶対に覚えておきたい項目をピックアップしました。
今回は『気体状態、鎮静レベル』について勉強していきます。
難しい言葉が並んでいますが、しっかりと内容を理解すればそこまで難しいものではないということに気づくはず。
▽解剖学/人工呼吸器/NPPVについてはこちらにまとめています▽
▽呼吸器の計算式についてはこちらにまとめています▽
【呼吸療法認定士の勉強】呼吸療法認定士の基礎知識
呼吸療法認定士の試験を受けるにあたり、基本的な用語を理解しておく必要があります。
その用語と略語、そして意味をしっかりと覚えておきましょう。
呼吸療法認定士対策:スワンガンツカテーテル測定項目
【スワンガンツカテーテル】
静脈から挿入して右心カテーテル検査を行うために考案・開発され、臨床応用された多目的カテーテルのこと。
先端にバルーンが付いているため、血流に乗せて右心房、右心室を経由して肺動脈まで安全にカテーテルを進めることができるしくみになっている。
このスワンガンツカテーテルで測定できる項目を学んでいきます。
中心静脈圧(Central Venous Pressure;CVP)
中心静脈圧(CVP)とは、中心静脈内にカテーテルを挿入し、右心房近位にあるカテーテルの先端より測定する圧のこと。
【目的】
- 右心系の機能の指標とする
- 循環血液量の目安とする
- 輸液の必要性や輸液量を調べる
肺動脈圧(pulmonary artery pressure:PAP)
肺動脈圧(PAP)とは、心臓から肺に血液を送るための血管『肺動脈』の血圧のこと。
【正常値】
- 収縮期圧30~15mmHg
- 拡張期圧8~2mmHg
- 平均圧18~9mmHg
収縮期圧で 30mmHg以上、平均圧で 20mmHg 以上の肺動脈圧が存在する場合を肺高血圧と定義される。
肺動脈楔入圧(pulmonary artery wedge pressure;PAWP)
肺動脈楔入圧(PAWP)とは、肺の毛細血管の静水圧のこと。
平均PAWPの正常値は5~13mmHg
心拍出量(Cardiac output:CO)
心拍出量(CO)とは、1分間に心臓が拍出する血液の量です。
「1分間の心拍出量(CO)=1回の拍出量(SV)×1分間の心拍数(HR)」で表すことができます。
混合静脈血ガス分析値
混合静脈血とは、上大静脈血・下大静脈血・冠静脈血の三者が混合されたもので、右心室内・肺動脈の血液を指します。
【目的】
呼吸機能・心機能・末梢循環のそれぞれの因子の影響をうけているので心・肺・末梢循環不全の総合的判断の指標とします。
呼吸療法認定士対策:気体状態の表現
気体状態の表現方法をまとめています。
BTPS(body temperature)
- 体温を表し、水蒸気飽和された状態
- 体温=37℃
- 水蒸気飽和された状態
- 肺活量などの肺気量分画、多くの肺機能検査の値に適用。
実際の「体内での容積」や「呼出されるガス量」などの表現に使われます。
STPD(standard temperature)
- 標準温度0℃+標準気圧1気圧
- ガスは乾燥状態で表現
- 標準温度0℃
- 1気圧で乾燥した状態
- 酸素摂取量
- CO2排出量
- 拡散能など
ATPS (Ambient Temperature)
測定時の室温、水蒸気で飽和。気量型のスパイロメータ、ライトのレスピロメータ、ベンチレータで設定した換気量。
【気体状態のポイント】
- ST(Standard Temperature)・・・0℃
- AT(Ambient Temperature)・・・室温
- BT(Body Temperature)・・・37℃
- 大気圧(760mmHg)の状態
- D(Dry)・・・乾燥状態
- S(Saturated with water vapor)・・・飽和水蒸気状態
呼吸療法認定士対策:消毒
消毒について学んでいきます。
- 滅菌(sterilization)
いかなる形態の微生物生命をも完全に排除または死滅させる - 高水準消毒(high-level disinfection)
芽胞が多数存在する場合を除き、すべての微生物を死滅させる - 中水準消毒(intermediate-level disinfection)
結核菌、栄養型細菌、ほとんどのウイルス、ほとんどの真菌を殺滅するが、必ずしも芽胞を殺滅しない - 低水準消毒(low-level disinfection)
ほとんどの栄養型細菌、ある種のウイルス、ある種の真菌を殺滅する
低水準消毒
- 塩化ベンザルコニウム(両性界面活性剤)
- 塩化ベンゼトニウム
- グルコン酸クロルヘキシジン
- 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン
中水準消毒
- 消毒用エタノール
- 次亜塩素酸ナトリウム
- ポピヨンヨード
- フェノール
- クレゾール石けん
高水準消毒
- グルタラール
呼吸療法認定士対策:鎮静レベル
鎮静の目的は『患者の不安感を和らげ、快適さを確保すること。』であり、必ずしも眠らせるkとではありません。
RASS を用い、鎮静状態を評価し、鎮静レベルの調整を行います。
RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale):鎮静スケール
0を中心に 10 段階に分かれていて、プラスでは興奮、マイナスでは鎮静が強いと評価します。
-
ステップ1:30秒間、患者を観察する。これ(視診のみ)によりスコア0~+4を判定する
-
ステップ2
1)大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う。
2)10秒以上アイ・コンタクトができなければ繰り返す。以上2項目(呼びかけ刺激)によりスコア-1~-3を判定する。
3)動きが見られなければ、肩を揺するか、胸骨を摩擦する。これ(身体刺激)によりスコア-4、-5を判定する。
- スコア+4:好戦的、暴力的なスタッフに対する差し迫った危険
- スコア+3:チューブ類やカテーテル類などを自己抜去。攻撃的
- スコア+2:頻繁な非意図的な運動、人工呼吸ファイティング
- スコア+1:不安でそわそわしている。動きは攻撃的でも活発でもない
- スコア0: 意識清明な落ち着いている
- スコア-1:呼びかけに10秒以上の開眼及びアイコンタクトで応答
- スコアー2:呼びかけに10秒未満のアイコンタクトで応答
- スコアー3:呼びかけに動きや開眼で応答するがアイコンクトなし
- スコアー4:呼びかけに無反応。身体刺激で動きまたは開眼
- スコアー5:呼びかけにも身体刺激にも無反応、昏睡
【鎮静評価】
呼吸療法認定士対策:感染症
- エボラ出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱
- 痘そう
- 南米出血熱
- ペスト
- マールブルグ病
- ラッサ熱
呼吸療法認定士対策:肺血栓症
肺動脈に血液の塊(血栓)が詰まる病気のこと。
この血栓の9割以上は「脚(あし)」の静脈内にできます。(深部静脈血栓症)
それが血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれてきて、肺塞栓症の原因となります。
肺塞栓症と深部静脈血栓症は、極めて関係が深い病気で、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼びます。
【肺塞栓症 – 国立循環器病研究センター】
静脈血栓塞栓症危険度による予防法の選択
低リスク
早期離床運動および積極的な運動
中リスク
弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法
高リスク
間欠的空気圧迫法あるいは低用量未分画へパリン
最高リスク
低用量未分画ヘパリンと間欠的空気圧迫法あるいはストッキング
【呼吸療法認定士の勉強】:ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)
重症呼吸不全患者または重症心不全患者(時に心肺停止 状態の蘇生手段として)に対して行われる生命維持法で、人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療のこと。
ECMOの適応
- OIが40以上が4時間以上
- pHが7.15未満でPaO2が40mmHg未満
ECMOの禁忌
- 頭蓋内出血
- 在胎週数35未満
- 出生体重2000g未満
- 人工換気10日以上
- 不可逆的肺損傷
- 予後不良の合併症や先天奇形
参考|Extracorporeal membrane oxygenation (ECMO) – 日本呼吸器学会
呼吸療法認定士対策:在宅酸素療法(Home-Oxygen-Therapy:HOT)
血液中の酸素が不足している方が、自宅など病院以外の場所で不足している酸素を吸入する治療法が「在宅酸素療法」です。
在宅酸素療法の適応
- PaO2<55mmHg
※PaO2 55~60mmHgでも、肺高血圧、肺性心、睡眠・運動でPaO2<55mmHgなら適応 - 肺高血圧
- チアノーゼ型先天性心疾患
- 慢性心不全
- CSR
呼吸療法認定士対策:緩衝塩基
- バイカーボネート(HCO3):緩衝塩基のこと。24∓2meq
- BB(buffer base):血液HCO3とHと結合していない蛋白(44-49meq)
- BE(:base excess):過剰塩基のこと。患者BB-正常BB(∓2meq)正は代謝性アルカローシス、負は代謝性アシド
- アニオンギャップ(AG):酸塩基平衡(Na+K)―(Cl+HCO)10-12meq 16meq以上で代謝性アシドーシス
- 代謝性アシド:糖尿病(DM)、腎不全、副腎不全、肝硬変、急性膵炎、下痢
- 代謝性アルカロ:鉱質コルチコイド、嘔吐、電解質異常
呼吸療法認定士対策:身体障害者
呼吸器疾患の障害者等級のまとめです。
【呼吸機能障害】
◇指数(予測肺活量1秒率)=1秒量÷予測肺活量×100で計算
身体障害者障害程度1級
- 指数20以下、PaO2 50以下
身体障害者障害程度2級
- 設定なし
身体障害者障害程度3級
- 指数20~30 PaO2 50~60
4級
- 指数30~40 PaO2 60~70
以上になります。
今回は『気体状態、鎮静レベル』について勉強していきました。
特にここに載っている内容は全て必須になりますので、必ず覚えておくようにしましょう。
【3学会合同呼吸療法認定士】は、持っているスタッフがいるだけでその病院は呼吸器疾患(Ⅰ)を取れるようになるので非常に重宝される資格です。
ぜひ3学会合同呼吸療法認定士の資格取得を目指してみてください。
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3学会合同呼吸療法認定士を持っていると、呼吸理学療法で獲得できる診療点数が変わります。
もちろん、病院としての収入も増えるので、お給料に反映される場合が多いです。
もし、3学会合同呼吸療法認定士を持っているにもかかわらず給料や待遇が変わらないのであれば、待遇が変わる職場に転職することを視野に入れてもいいと思います。
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