「昇給ってこんなものなの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
昇給ありという職場だったのに、いざ明細を見てみたら昇給額は1,000円ちょっと。
これでは働いている意味なんて見出せないですよね。
平均的な昇給額は2%程度、つまり基本給が20万円なら4,000円程度のベースアップだそうです。
あなたはそれより多くベースアップしていますか?
この記事では「昇給とは何か?」という疑問から「昇給の平均額」、そして定期昇給の実態まで徹底解説し、あなたの職場が本当に恵まれているのか、それとも見切りをつけるべきなのかを明らかにしていきます。
定期昇給とは?

定期昇給は勤続年数や職務上の昇格に応じて「基本給が増額」することです。
理学療法士では仕事の内容や成果に関係なく、毎年決まった時期に一定金額昇給する「定期昇給制度」が主流となっています。
年1回、昇給するのが基本で、勤続年数や人事評価に応じて数千円〜数万円のベースアップが行われます。
とはいえ、理学療法士が数万円もベースアップすることはほとんどないと思います。
ここで混同されがちなのが「昇進」との違いです。
昇給と昇進・昇格の意味の違い
理学療法士も一般的なサラリーマンも昇格・昇進・昇給の違いは特にありません。
理学療法士では昇給は毎年4月に1,000~5,000円基本給が上がる「定期昇給制度」が一般的です。
昇進に関しては、「一般職」→「副主任・主任」→「係長」→「課長」「部長」と昇進していき、それに応じた賃金の上昇があります。
昇格は、理学療法士の仕事ではあまり導入されているところはありません。職場によっては導入されているところもあるかもしれません(一般職→班長→リーダーなど)
昇給と昇進・昇格の給与の違い
まず昇給は多くの病院では毎年4月に「基本給」が1,000~5,000円アップします。
基本給が上がるので、当然ボーナスにも反映されます。
ボーナスが4か月の場合、5,000円昇給すると年収が8万円アップする計算になります。
多くの病院では、この昇給の金額は一律です。
昇進は「一般職」→「副主任・主任」→「係長」→「課長」「部長」と昇進していくにつれて「手当」がつきます。
昇給との違いは
- 不定期であること
- 役職によって金額が異なること
が挙げられます。
ある病院では
- 副主任:12,000円
- 主任:15,000円
- 係長:20,000円
- 課長:25,000円
- 部長:30,000円
とされています。
もちろん病院によってこの金額は異なります。
私が主任をしていた時は15,000円の手当がつきました。
昇格は、一般職→班長→リーダーなどと業務内容が変化していき、管理を任される立場になります。
給与が増える職場と、特に変わらない職場があります。
私が昔工場で働いていた時は、班長になりましたが時給は1,250円と一般職の時と変わりはありませんでした。
昇給が給与(手取りや年収)に与える影響

昇給すると年収がグッと上がります。
理学療法士は
- 平均年収は約433万円程度
- 月収30.0万円
- 賞与(ボーナス)年間71.4万円
だそうです。
ということは昇給で5%給料が増えると、年収が433万円から455万円程度に増えるということです。
しかし「昇給=手取りアップ」とはならないことに注意が必要です。
昇給で総支給が上がると、税金や社会保険料(健康保険・厚生年金等)の負担も増えてしまいます。
特に社会保険料は、4月〜6月の給料を基準に算定されるので、昇給してすぐの給料が参考にされるので本当にクソなタイミングです。
昇給で収入が上がった4〜6月の間で計算され、その後の手取りに反映されるので7月からは「手取りが逆に減る」ケースも起こりえます。
昇給が発生するタイミング
昇給は勤務先の人事制度によって異なりますが、一般的には「年度初め(4月)」に行われることが多いです。
これは新しい給与規程が適用される時期であり、いわゆる「定期昇給」と呼ばれるものです。
また、多くの病院では「人事評価後」に昇給が決定されます。
評価基準は勤続年数や単位実績、資格取得など様々で、所属長が全員を評価して人事部に提出するものとなています。
とはいえ、人事評価は年末に行われ、反映されるのが4月からという職場も多いので昇給は4月に起こるといっていいと思います。
理学療法士の昇給平均と相場

あなたの昇給額と、一般的な平均昇給額を比較してください。
自分の昇給が業界の平均と比べて「良いか悪いか」を判断するためにこの項目を設けました。
理学療法士全体の昇給平均と昇給率、さらに経験年数別の相場を踏まえて、「あなたの職場の昇給」が妥当かどうかを確認してみてください。
理学療法士全体の昇給平均額・昇給率
PTOT人材バンクの記事によれば、理学療法士の平均年収は約 433万円(平均月収30.0万円、賞与年間71.4万円)と報告されています。
そして昇給率(前年の基本給に対して給与が上がったかを割合(%)で示した数値)は年率2%前後とされています。
これは基本給が20万円であれば、4月に基本給が204,000円になるということ。
この金額を見ると、昇給はあるけれども少額である、というように感じる人も多いと思います。
経験年数ごとの昇給平均(新人~10年目以降)
昇給額は、経験年数を積んでも増えたりはせず、ほぼ一定の水準を保ちます。
むしろ年数を重ねるにつれて減る傾向にありあます。
もし同じ職場で働き続けた場合、昇給はどのように進むのかを年齢別・経験年数別の平均年収推移例と昇給の目安を一覧にしてみました。
| 年齢層/経験年数 | 平均年収例 | 昇給額の目安(前世代比) |
|---|---|---|
| 20〜24歳(新人期) | 約 345万円(初期) | — |
| 25〜29歳 | 約 398万円 | +約 53万円 |
| 30〜34歳 | 約 444万円 | +約 99万円 (20代基点比) |
| 35〜39歳 | 約 461万円 | +約 116万円(20代基点比) |
| 40代以上 | 500万円前後 | +約 135万円(20代基点比) |
マイナビコメディカルを参照
これを見ると20代から30代にかけては昇給の伸びが比較的急ですが、30代後半からは上がり幅が鈍化する傾向があります。
私の病院でも、20〜39際までは昇給額は5,000円でしたが、41歳からは2,000円になっていました。
若手を育て、長く働ける職場作りの一環としてはいいのですが、長く働いた人への恩恵がないのは寂しいですね。
勤続年数と昇給額の関係
勤続年数と昇給には一定の関係がありますが、必ずしも「長く勤めれば大幅に昇給する」とは限りません。
先ほども申し上げた通り、私の病院では、20〜39際までは昇給額は5,000円でしたが、41歳からは2,000円になっていました。
将来性のある若手の昇給額を大きくし、伸び代のない中年以降は昇給額を少なくする。
一見、合理的にも見えますが・・・。
私の職場のみならず理学療法士の場合、経験年数10年を超えても昇給幅が頭打ちになりやすいようです。
つまり「長く働く=安定は得られるが、劇的な収入増は難しい」というのが実態です。
ボーナスと昇給額の関係
昇給とボーナスは一見すると別物ですが、実際には密接に関係しています。
昇給によって基本給が上がれば、その額を基準に計算されるボーナスの支給額も増加するため、年収全体に大きな影響を及ぼします。
例えば昇給で基本給が5,000円アップした場合、年間で6万円の年収増加に加え、ボーナス4ヶ月分(2万円)が上乗せされます。
年8万円の年収増加はかなり大きいと思います。
昇給額・昇給率を正しく理解するための計算方法

昇給を正しく理解するには、「いくら上がったか」よりも「何%上がったか」を考える方が重要です。
この何%上がったか?を昇給率といい、前年の基本給に対してどのくらい増えたかを示す割合のことです。
昇給率の計算方法
「昇給額 ÷ 昨年の基本給 × 100」
例えば基本給25万円の理学療法士が月5,000円昇給した場合、昇給率は「5,000 ÷ 250,000 × 100 = 2%」となります。
日本全体の昇給率平均は厚労省データによると約2%前後だそうで、理学療法士の場合も1〜2%程度が一般的と思われます。
つまり昇給率が1%以下の場合、あなたの職場の昇給状態は極めて悪く、今後も給料は伸びていかないと思われます。
ただし、昇給率は基本給が低いほど高くなります。
- 昇給額5000円/基本給250,000円の場合
5,000 ÷ 250,000 × 100 = 2% - 昇給額5000円/基本給300,000円の場合
5,000 ÷ 300,000 × 100 = 1.67%
ということは、給料がそもそも高い人は、昇給率よりも昇給額を見た方が良いということになります。
理学療法士の昇給額の平均は2,000〜5,000円程度らしいので、こちらも合わせて参考にするといいと思います。
昇給額と社会保険料・税金の関係
昇給したとしても、その金額がまるまる手取りに反映される訳ではありません。
当然、昇給分の社会保険料や所得税の負担も増える点に注意が必要で、数千円の昇給でも社会保険料や税金のおかげで、実際に手取りは昇給額の半分くらいしか増えません。
では、どれくらい手取りが増えるのかをシミュレーションしてみます。
年収400万円で昇給5000円したら手取りはいくら増える?
理学療法士の仕事で、昇給額が5,000円はかなり良い方です。
では、5,000円昇給すると手取りはどれくらい増えるのでしょうか?
- 年収:400万円(基本給+賞与含む)
- 昇給:月5,000円
- 社会保険料は給与の約15%(健康保険+厚生年金+雇用保険の概算)
- 所得税・住民税は簡易計算で約10%(概算で年収400万円なら所得税率約10%、住民税約10%)
が一般的な税率になります。
つまり税金で年収の約25%が持っていかれる計算です。
社会保険料の税率
| 保険の種類 | 料率(本人負担分) | 備考 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 約5%(都道府県により4.8〜5.2%) | 協会けんぽの場合 |
| 厚生年金 | 9.15% | 料率18.3%の半分を本人負担 |
| 雇用保険 | 0.6% | 令和6年度(2024年度)現在 |
| 介護保険(40歳以上) | 約0.9% | 該当者のみ |
所得税・住民税の税率
| 区分 | 内容 | 年間負担額(目安) | 年収に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 所得税 | 累進課税。控除後の課税所得に5〜10%程度 | 約10〜15万円 | 約3〜4% |
| 住民税 | 一律10%(所得割+均等割) | 約25〜30万円 | 約7〜8% |
| 合計 | 所得税+住民税 | 約35〜45万円 | 約10〜12% |
住民税の計算は面倒くさいので詳しく知りたい方はこちらをみてください。
年額の昇給額
月5,000円 × 12か月 = 60,000円/年
社会保険料の増加
60,000円 × 15% = 9,000円/年
所得税・住民税の増加
60,000円 × 20%(所得税+住民税概算) = 12,000円/年
手取り増加額
昇給分の年額 60,000円 - 社会保険料 9,000円 - 税金 12,000円 = 39,000円/年
月あたりの手取り増加
39,000円 ÷ 12か月 ≈ 3,250円/月
つまり、年収が上がれば上がるほど引かれる金額も多くなるので、昇給で5,000円上がったとしても実際に手元に入ってくるお金は3,250円しか増えないんですよね。
1,250円は税金で消える運命です、悲惨ですね。
昇給が少ないと感じたときどうすればいい?

昇給が少ないと感じたとき、まずは現状を正しく把握することが重要です。
- 去年より1%以下の昇給率
- 去年より2,000円以下の昇給額
この2つを満たしていたら、あなたの職場の昇給は一般的な職場より少ないと言えます。
昇給が期待できない職場から転職するメリット
昇給が期待できない職場出会った場合、やはり転職するのが一番です。
転職する最大のメリットは、年収や手取りを確実に増やせる点で、昇給額や昇給率が高い職場に転職することで、10年後の年収もかなり変わってきます。
基本給20万円・賞与4ヶ月の場合
- 昇給2,000円の職場:10年後に基本給22万円/年収352万円
- 昇給5,000円の場合:10年後に基本給25万円/年収400万円
これに手当もつくので一概には言えませんが、昇給額が3,000円違うだけで10年後には48万円も年収で差がつくんです。
昇給が少ないことに不満を感じたら、転職という選択肢を視野に入れる価値は大いにあると思いませんか。
さらに転職すれば基本給も上がります。
基本給も昇給も上がってしまえば、将来はかなり安心できると思います。
昇給しやすい職場の探し方(求人票のチェックポイント)
昇給しやすい職場探すには、求人票をしっかりと見ることが重要です。
- 基本給の昇給幅
- 昇給のタイミング
- 去年の実績
を確認すべきです。
特に「年1回〇円昇給」や「評価制度による昇給あり」と記されている求人票であれば、昇給による給与アップの仕組みが整っていると思われます。
ただし、500円アップでも昇給に含まれてしまうので、いくら昇給するか?は確認した方がいいです。
もし求人票に書かれておらず、自分で聞きにくい場合は転職サイトに登録し転職エージェントに確認してもらうととても楽です。
お金に関する質問ってなかなかしにくいですよね。
そんな時、転職サイトを使って転職エージェント経由で聞くことで、自分は特に何もせず情報を仕入れることができます。
転職サイトの人も商売なので、適当なことはしませんし、嘘をついたりしたら企業も転職エージェントも信頼関係が成り立たなくなります。
だから困った時は転職サイトの担当者に丸投げするのが一番です。
実際に使用したおすすめの転職サイト
まとめ:昇給は絶対に必要
昇給は給与が増額する手段の一つですが、その金額次第で将来が安定するか否かが変わってきます。
毎年500円の昇給と5,000円の昇給では、どちらが良いか?というのは明らかですよね。
昇給制度がしっかりしている職場は、長く働ける職場でもあります。
理学療法士の場合、長く勤めてもほとんど給料が上がらないケースも少なくありません。
そのため、自分の昇給が良いのか悪いのか、この記事を通して確認してもらえれば幸いです。
- 去年より1%以下の昇給率
- 去年より2,000円以下の昇給額
これに当てはまっている場合、あなたの昇給額は平均に比べて低いと思われます。
その場合、将来性はかなり厳しいと思うので、転職も視野に入れることが賢明です。
昇給制度が明確で、きちんとあなたを評価してくれる職場に移れば、年収や手取りの改善はもちろん、将来設計や生活の安定にもつながります。
自分に合った理想の職場を見つけるために、信頼できる転職サイトに登録して情報収集を始めましょう。
そのほか、お金に関する疑問はこちらの記事でもまとめています。
昇給以外にも年収やボーナス、福利厚生などお金に悩んでいたら、ぜひご覧になってみてください。






