「40代でも理学療法士を目指して学校に行きたい!」
「でも不安だから実際に働いてる人の話を聞きたいな…」
私の病院には、今年入ってきた新人PTで40歳のお母さん理学療法士がいます。
子供は2人とも小学生の男の子。

まだまだ慣れないしめっちゃきついですけど毎日楽しく働いてますよ!
そう答える新人PTお母さんのAさん。
毎日一生懸命働いてるけど、なんでその年齢で(失礼!)理学療法士を目指したんだろう?
ちょっと興味を持ったので、お話を伺いました。
40歳といえば普通に働いていれば中堅からベテランの域になる年齢です。
それなのに、わざわざ専門学校に通い、新人として理学療法士になるなんて面白いですよね!
でも、理学療法士になるには結構苦労してきたと思います。
若い人よりは不利な条件が多そうじゃないですか。
さて、実際に40歳で理学療法士になって、彼女はどう感じたのでしょうか?
- 大変だったこと
- 就職の話
- 年収の話
- 成功、失敗談
このあたりにフォーカスして聞いてみました。
30代40代で理学療法士になるのは遅すぎる?就職と転職の実際
まず客観的な私の意見ですが、30歳代で理学療法士になる人は珍しくありません。
30歳代で新人として入職してきたのは、当院で言うと
- 2019年1名
- 2018年1名
- 2017年0名
- 2016年1名
とそれなりに数はいます。
40歳代で新人として入職してきたのは今回のAさんが初めてでしたが、作業療法士や言語聴覚士まで視野を広げるとここ5年で3人目です。
毎年の入職者が6~8名ということを考えると決して少ない人数ではありません。
30代40代の就職や転職は難しいのか?

やっぱり就職の時は年齢に対してネガティブなことを言われましたね
Aさんはそう話してくれました。
理学療法士という肉体労働に40歳でしかも女性ということで職場も不安だったんだと思います。
しかし、持ち前の明るさとひたむきな気持ちで面接に臨み、3社中2社で内定をもらい当院に来たとのこと。
「1つ落ちましたが、そこは若い子が欲しかったみたいです。需要と供給ですね笑」
Aさんは明るく話してくれますが、やぱり年齢を理由に落とされるとショックだと思いますよ。
とはいえ、2社で内定を貰っているので、あまり年齢は関係ないみたいです。
当院の人事の話によると
「別の病院で15年もやってきた中途より40歳で新人のほうが育てやすい」
「22歳の新人より社会的なマナーを分かテルから比較的安心できる」
ということも言ってました。
人事担当にほかにもいろいろ聞いていますので、興味があればこちらの記事もどうぞ!

40歳という年齢にネガティブなイメージを持ってしまいますが、40歳であるというポジティブなイメージを伝えていけば就職や転職は全く問題ないです。
ぼくも29歳で転職しましたが、面接で「30歳を前に転職したいと思いました、そのほうが働きやすいかと思いまして。」と話したら面接官に「この業界はあまり年齢は関係ないですよ、30歳を超えても全然大丈夫です」と言われたことがあります。
求人サイトも30歳以上の求人が多数あるので、需要はありますし全然遅いなんてことはないですね。
▽30歳以上の求人多数▽
40歳でPTを目指して大変だったのは学校生活


就職よりもやっぱり勉強が大変でした。脳みそが固まってるので笑
Aさんに大変だったことを聞くと、学校生活が大変だったとのこと。
授業は朝からみっちりとありますし、家に帰れば子供も2人います。
そのうえ、自宅では勉強していかなければ単位も取れないので本当に大変だったそう。
特に臨床実習の時期なんか家の事が十分できず、家庭内で不穏な空気が流れたとか。
「40歳で理学療法士を目指すなら、家族の協力が不可欠です。体力的に持ちません!」
それでも単位を取り、実習をクリアし、国家試験も合格してるんだから脱帽しかありません。
このような困難を乗り越えて理学療法士になったんだから、まじめに働いてくれるに決まってますよね!
40歳新人理学療法士の気になる給料と年収を社会人と比較
みなさん気になるお金の話ですが、40歳でも23歳でも新人の給料は変わりません。
まだまだ経験年数がモノを言うこの業界は、長く務めた人のほうが給料は高い傾向にあります。
40歳で新人で入職した場合、Aさんの4月の初任給は総支給で23万円、手取りで20万円くらいだったそう。
もちろん職場にもよりますが、大体そんな感じの所が多いみたいですね。
夏のボーナスは出ないか寸志程度(8万円でたそうです!)なので、年収は310万円前後。
翌年には夏のボーナスも出るので、年収は340万円前後になりますが、所得税が引かれ始めるので手取り(使えるお金)はあまり変わらないと思います。
一般的な新人サラリーマンと給料・年収の比較
労務行政研究所の発表では、新卒1年目の平均給料は20万6,250円だそう。
理学療法士の初任給の平均は23万5,000円程度(PTOTSTWORKERより)なので理学療法士のほうがちょっとだけ上回ってますね。
ただ10年後に逆転される模様。
理学療法士の昇給は少ないです(当院で5,000円/年)
作業療法士・言語聴覚士と給料・年収の比較
理学療法士の月収は23万5,000円ですが、作業療法士と言語聴覚士ではどうでしょうか。
【PT・OT・SEの初任給比較】
- 理学療法士:23万5,000円(男女差の記載なし)
- 作業療法士:23万5,000円(男) 22万8,000円(女)
- 言語聴覚士:23万3,000円(男女差の記載なし)
療法士の初任給に大きな差はなく、平均年収や経験年数でも差はないです。
40歳でPTになって成功したこと、失敗したこと


大変だったけど理学療法士を目指して良かったと思ってます!
Aさんが40歳で理学療法士になってみて良かったと思う事のほうが多いそう。
でも失敗談とかもきっとあるはず。
40歳で新人になった人だからこその話を伺ってきました。
40歳で理学療法士になって良かったことは「手に職」


手に職を付けられるのはすごく良かったと思います!
理学療法士は国家資格であり、よっぽどのことが無いと仕事にあぶれることはありません。
Aさんも以前はパート勤めをしていたそうですが、その時に比べて安定した収入も得られるし、興味のある仕事だったので楽しく働けているとのこと。
家で家事をするのも大切ですが、本人がやりたい!と思った仕事をできているので楽しいという意見もありました。
確かに、ふつうのサラリーマンではできない体験を仕事にしているわけですから、それだけでプライスレスな感じはしますよね。
他にも
- 毎日が新鮮
- 感謝される
- 仕事がストレス発散になる
- 家庭の事を忘れられる
- 世帯収入が増えた
といった発言も。
お母さんが家の事以外の場所に進出するのはいいことですよね。
逆にお父さんが家の事をドンドンやっていくべきだと思います。
それが共働きです。
ちなみに共働きになると世帯年収は800万円をこえます。
給料のあまり高くない理学療法士でも、力を合わせれば乗り越えていける!はず!
40歳で理学療法士になって失敗したことは「もっと早く目指しておけばよかった」


やっぱり年齢は気になります。新卒の子が40歳になると経験年数は17年。
でも私は40歳で経験年数は1年ですから
Aさんが失敗したことは、もっと早く理学療法士を目指しておけばよかったということ。
どの業界もそうですが、経験って大切なんですよね。
Aさんが10年の経験を積むと50歳になってしまいますが、新卒の子が10年経験を積んでもまだ33歳。
この差はどうあがいても埋まりません。
今更どうこうできる問題ではないのですが、やっぱり少しでも早く臨床現場に出たほうがいいと思います。
実は私も現役ではないのですが、4年制の大学ではなく3年制の専門学校を選んだ理由が、はやく現場に立ちたいという思いからでした。
経験年数はまだまだ理学療法士にとって重要になっていますね。
40歳で新人理学療法士として働く悩みと人間関係
私はAさんの上司で、Aさんは私より4歳年上です。
やりにくいと思いますよー。
まぁAさんは女性ですので、うまく立ち回っていますが、これが男性だったら「年下のくせに指図しやがって」みたいな感じになってしまうかもしれません。
Aさんの同期もみんな若いですので、上手くやっていけるか?という不安もあるそうです。
あとは年上だから自分がしっかりしなきゃいけない!みたいな感情も。
でも40歳ならではの武器を駆使して、お母さんみたいな立場で仕事をしていけるといいんじゃないかな?と思います。
変に若者に寄り添うのも疲れちゃいますしね。
作業療法士と言語聴覚士は選ばなかったの?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は似ているようで全く違います。
たまに理学療法学科が落ちたから作業療法学科に行った、みたいな話を聞きますがそんな人は長続きしないと思います。


私は理学療法をやりたいから理学療法士を目指しました。作業療法士とか言語聴覚士を選ぶつもりはありませんでしたね
語弊があるかもしれませんが、これでいいです。
理学療法士を目指す人、作業療法士を目指す人、言語聴覚士を目指す人、それぞれ自分の考えがあって目指しています。
理学療法士に向かって「作業療法士と言語聴覚士はなんで選ばなかったの?」という質問事態が愚問かもしれません。
テニス選手に向かって「卓球やバドミントンはなんで選ばなかったんですか?」と聞くのと同じです。
ちがうかな?
まとめ:40歳からでも理学療法士になれる
40歳からでも実際に理学療法士になっている方がいます。
現役で理学療法士になるよりは当然大変な思いをするでしょう。
しかし、それを乗り越えた人はやっぱり強いという印象を受けます。
理学療法士の業界では30代、40代での求人もまだまだありますので、遅すぎるということもありませんしね。
40歳という年齢にネガティブなイメージを持ってしまいますが、40歳であるというポジティブなイメージを伝えていけば、ぜんぜん理学療法士としてやっていけますよ!