新卒の理学療法士の就職先っていろいろありますよね。
クリニックや訪問リハもありますが、一番多いのはやっぱり一般病院です。
一般病院は大きく3つに分かれていて、
- 急性期病院
- 回復期病院
- 維持期(療養)病院
に分かれています。
今回はその中でも「急性期病院」で働く理学療法士の仕事や特徴についてまとめます。
「病院ならどこも同じでしょ?」と思って入職すると、全然イメージと違った!なんてこともあるので、事前に特徴を知っておくことはめちゃくちゃ大事です。
就職を後悔しないために、しっかり情報を整理しておきましょう。
急性期病院ってどんなところ?
急性期病院とは、ケガや病気を発症して間もない患者さんが来院する病院です。
救急搬送されるケースも多く、現場では一刻を争う判断が求められます。
だからこそ、最初に優先されるのは命を守ることと病状を安定させること。
リハビリはそのあとから始まります。
急性期リハビリの一番の目的はズバリ「早期離床・早期歩行」。
寝たきりで廃用症候群になるのを防ぐのが重要なんです。
急性期リハの患者さんはどんな人?
代表的なのはこんな感じ👇
- 大腿骨頚部骨折 → 手術(人工骨頭置換術など)を受けた方
- 脳梗塞 → 投薬や外科的治療後のリハビリ対象者
年齢層はめちゃくちゃ広くて、20代から高齢者までいろんな人が対象になります。
急性期でPTに一番求められるのは「観察力」
急性期病院に来る患者さんは、まだ状態が安定していないケースがほとんど。
術後すぐとか、全身状態が不安定な人も多いんです。
だから大事なのは手技よりもまずバイタルサインの観察。
チェックすべき項目は、血圧・脈拍・体温だけではありません。
- 血中酸素飽和度(SpO₂)
- 顔色
- 呼吸数・呼吸の深さ
- 脈の強さ
- 眼球運動
- 発汗の有無
- 言語の明瞭さ(ろれつが回るか)
これらを総合的に観察し、異常を見逃さない力が必須です。
こういう細かい変化を見逃さないことがとても大事です。
急性期リハの実際の流れ
「骨折なら荷重訓練」「脳卒中なら電気刺激」みたいな教科書通りのリハは、急性期では通用しません。
その時々の状態によって、やることは変わります。
- 大腿骨骨折の術後 → 痛みや術式の違いによって荷重訓練の開始時期は変わる
- 脳卒中後の患者 → 状態によっては電気刺激よりも安静管理が優先される
容態がシビアなため、常にその場での状況判断能力が求められます。
実際に多いのは、
- 浮腫の予防
- 深部静脈血栓症(DVT)の予防
- 起立性低血圧の予防
など、合併症を防ぐためのリハビリです。
ここで重要なのはシンプルに
- バイタルチェック
- 早期離床
- 早期歩行
この3つ。
この3つを繰り返していくのは急性期リハの基本となります。
急性期は入院期間が短いのが特徴
急性期病院の患者さんは、長くても2週間くらい。早ければ数日で転院していきます。
「よし、これから本格的にリハ始めよう!」と思ったら退院…なんてこともよくあります。
つまり、長くじっくり患者さんを診ることは難しいんです。
あくまで「次のステージにつなげるためのリスク管理と初期対応」が急性期PTの仕事になります。
急性期病院では勉強できない?
急性期リハは、バイタルチェック・早期離床・早期歩行を繰り返すと言いましたね。
ということは「急性期って同じことの繰り返しだから勉強にならないんじゃ?」と思いませんか。
確かにバイタルチェック・早期離床・歩行練習の流れは似ています。
でも、患者さんの状態は一人ひとり違うので、判断力や対応力はめちゃくちゃ鍛えられます。
確かに、じっくり症例を追う経験は難しいですが、逆に言えば豊富な症例を次々に経験できる環境でもあります。
特に、
- 状況判断力
- 決断力
- 安全管理能力
といったスキルは、急性期でしか磨けない力です。
これらは他の職場ではなかなか得られないので、キャリア的には大きな強みになります。
急性期病院の給料や待遇は?
気になる給料ですが、実は急性期だから高い・低いという差はほぼありません。
一般病院の給与相場に準じていて、回復期や維持期と大きな違いはないです。
待遇や残業時間も病院次第なので、「急性期だからきつい」というわけではなく、職場環境によるところが大きいです。
詳細は以下の記事でまとめていますので、参考にしてください。
👉 【一般病院で働く人の仕事量と給料まとめ】
急性期病院で働くメリット・デメリット
メリット
- いろんな症例を経験できる
- 判断力・リスク管理力が身につく
- 将来の転職に有利
デメリット
- 患者さんをじっくり診る時間が少ない
- 業務が似ていてマンネリ化しやすい
- 自分で勉強の工夫をしないとスキルアップしにくい
まとめ:新卒で急性期に入るのはアリ!
結論から言うと、新卒で急性期に入るのはかなりおすすめです。
もちろん最初から即戦力にはなれませんが、現場でいろんな症例に触れることで、同期より一歩先のスキルを身につけられる可能性が高いです。
特にリスク管理の経験は、どんな職場に転職しても絶対に役立ちます。
「患者さんをじっくり診たい」という人には向かないかもしれませんが、「幅広い症例を経験して成長したい」「将来転職も考えている」という人にはぴったりの職場です。
就職先を探しているなら、まず急性期病院を選択肢に入れてみるのがおすすめです。
きっと、理学療法士としての土台作りに大きくプラスになりますよ。