BCAAは必須アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」のことです。
リハビリでよく使われる「栄養補助食品」には必ずと言っていいほど入っている栄養素です。
んで、よく勘違いされるんですがアミノ酸を摂取しても骨折や靭帯損傷の治癒が早くなったりしません。
当院でも「これ飲んでれば早く良くなるでしょ?」といってアミノ酸入りゼリードリンクを飲んでいる40代の男性がいます。
では、アミノ酸を摂取しなくてもいいのか?というとそうでもありません。
骨折後に起こる低栄養の問題
骨折や靭帯損傷をすると、人は低栄養となります。
手術などの侵襲を受けるとエネルギー不足になり、それを確保しようとたんぱく質を消費するからです。
結果的にアルブミンが低下するので、低栄養状態であると言えますね。
さて、低栄養状態でリハビリをしても、エネルギーがない状態なのでリハビリの改善が計れません。
いくらリハビリをしても改善しないんです。
つまり、低栄養状態(BCAAが不足している状態)でリハビリをしても効果は望めず、結果的に治療機関が延長するんです。
BCAAを摂取すると骨折や靭帯損傷が治りやすいのでなく、BCAAが足りないと「治りにくい」と言えます。
実際の論文データ
リハビリテーション後に投与する栄養補助食品の 大腿骨近位 …≫によると、大腿骨頸部骨折術後に低栄養になった患者に対し
- BCAAを含んだ栄養補助食品を与えた群
- オレンジジュースのみ(カロリー摂取のみ)を与えた群
で研究した結果、4週という短い期間でBCAA摂取群は通常の栄養状態に復帰し、オレンジジュース群はずっと低栄養だったという結果でした。
回復期のリハビリテーション栄養管理 – JST≫では回復期患者に初期から栄養補助食品を与え、栄養状態を改善させた結果
- 自宅復帰:44%→83%
と向上し
- 介護施設:30%→8%
- 医療施設:17%→6%
- 症状悪化・死亡:10%→4%
と低下したという報告があります。
つまり、BCAAを含む補助食品で栄養状態を改善すれば退院後も良好な結果を得られると言えます。
BCAAで骨折は治らない、でも摂取すべきである
BCAAやプロテインの摂取で怪我の治癒が早くなることはありません。
ただし、BCAAやプロテインを摂取しないと治癒が遅くなることはあります。
あなたの病院に整形外科疾患で術後急性期の患者が入院していたら、栄養状態にも着目してください。
血液検査で「TP」「Alb」の数値を観察してください。
- TP(総たんぱく質):6.8~8.3 g/dl
- Alb(アルブミン):3.8~5.3 g/dl
そして、術後すぐから4週間程度、BCAAの含まれる栄養補助食品を摂取するようにお伝えください。
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