
「通勤なんて仕方ない」「慣れれば大丈夫」
と思っていませんか?
実は、通勤時間は私たちの幸福度、健康、そして家庭生活にまで影響を与えることが数多くの研究で示されています。
特に理学療法士のように人と向き合う仕事では、朝から通勤で消耗してしまうと、仕事のパフォーマンスや患者さんへの対応に悪影響を及ぼしかねません。
本記事では、最新のデータや研究に加え、地方勤務と都心勤務の違い、実際の転職の選び方、通勤時間を有効活用するためのルーティン改革を具体例を交えて解説します。
読み終わる頃には、「通勤時間」を軽視せず、キャリアや生活の選択基準に組み込む大切さを実感できるはずです。
理学療法士・作業療法士の通勤時間が長いと不幸になる?
日本生命基礎研究所の調査によると、通勤時間が片道10分未満の人を基準とした場合、通勤が30分以上になると幸福度スコアは明らかに低下することが分かっています。
通勤時間と幸福度の関係-リモートワークの拡大で幸福度は高まるか?>
また、スウェーデンやイギリスなど海外でも同様の結果が報告されており、「通勤は短いほど幸せ」というのは世界共通の結論です。
具体例:地方勤務 vs 都心勤務
地方勤務(マイカー通勤40〜60分)
- 車移動で満員電車のストレスはないが、往復で1.5〜2時間が削られる
- 病院は広々して働きやすいが、勤務後は疲れて子どもと遊ぶ時間がほぼゼロ
- 休日はリフレッシュできるが、平日の生活満足度が低い
都心勤務(電車通勤15〜30分)
- 満員電車のストレスはあるが、通勤時間は短め
- 帰宅後に夕食を家族と一緒にとれる時間が確保でき、パートナーとの関係が安定
- 余った時間を副業や資格勉強に使えるため、キャリアアップにも直結
この比較からもわかるように、「地方=広々して快適、都心=混雑でストレス」と単純に割り切れないのです。
時間の総量が最終的な幸福度を左右します。
離婚しやすくなる
スウェーデンの研究では、通勤時間が片道45分を超える家庭は、離婚率が40%高いと示されています。
事例:通勤1時間の夫婦
- ある理学療法士は、地方都市から1時間半かけて勤務先へ通勤。
- 朝は早く、夜は子どもが寝てから帰宅
- 家事・育児の負担が配偶者に偏る
- 会話の時間が減り、夫婦関係が悪化
一方、勤務地を自宅近くに変えた別の療法士は、家事分担がスムーズになり、**「通勤時間が減ってから夫婦関係が改善した」**と語っています。
不安感が強くなる
イギリスのONS(国民統計局)の分析では、通勤が長くなるほど「不安のスコア」が上昇することが分かっています。
具体例:電車通勤とメンタル
- 満員電車で押し潰されながら出勤 → 朝から疲労感とイライラ
- 職場到着時点で「1日がすでにしんどい」状態
- 慢性的なストレスにより、軽度の不安障害やうつを発症するケースも
理学療法士は「患者さんに安心感を与える仕事」。
そのため、自身が心の余裕を失うのは致命的です。
太りやすくなる
アメリカの研究では、車通勤が長い人ほど肥満率が高いことが示されています。
実際の生活変化
- 長時間運転 → 運動不足
- 帰宅後は疲れて自炊できず、コンビニ食や外食に偏る
- ストレス食いの習慣がつく
結果として、通勤1時間以上の人はメタボリスクが高いという傾向が現れます。
睡眠時間が減る
ハーバード大学の調査では、通勤時間が1時間増えるごとに睡眠時間が平均30分以上減るとされています。
ケース:訪問リハ勤務の30代OT
- 朝7時に家を出て、帰宅は夜9時
- 睡眠時間は5〜6時間程度
- 日中の眠気で仕事の集中力が落ち、書類ミスが増加
このように、通勤による睡眠不足は業務パフォーマンスにも直結します。
通勤時間はお金には代えられない
チューリッヒ大学の試算では、長い通勤のストレスを埋め合わせるには年収40%増が必要とされています。
つまり、給料が多少上がっても、通勤が長くなれば「トータルでは損」になる可能性が高いのです。
たかが10分、されど10分
- 片道10分の差でも、年間にすると約80時間。
- 家族との団らん
- 資格試験の勉強
- ジムでの運動
こうした「積み重ね時間」が、人生の満足度を大きく変えていきます。
通勤を理由に転職すべき? 実際のガイド
転職で重視すべきポイント
- 通勤時間は片道30分以内を目標
- 勤務地だけでなく勤務形態(時差出勤・直行直帰など)も確認
- 給与と通勤のバランスを比較
- 転職サイト・エージェント活用
転職サイト・エージェント活用例
レバウェルリハビリ:勤務地検索が細かく設定可能
PT・OT・ST WORKER:通勤条件を伝えると希望に合う職場を紹介してくれる
- マイナビコメディカル:自宅近くのクリニックや訪問リハ求人に強い
自分自身のルーティン改革で通勤を味方にする
通勤時間を完全にゼロにできなくても、「質」を変えることはできます。
改善アイデア
- オーディオブックやポッドキャストで学びの時間に変える
- 歩きや自転車通勤で運動不足を解消
- 瞑想アプリや深呼吸習慣でメンタルを安定
これにより、「通勤=消耗」から「通勤=リセットの時間」に変えられます。
まとめ
通勤時間が長いことは、
- 幸福度の低下
- 離婚リスク増加
- 不安・ストレスの増加
- 肥満や睡眠不足のリスク
といったネガティブな影響を生むことが研究で明らかになっています。
理学療法士にとって大切なのは、患者さんに最高のパフォーマンスを届けるため、自分自身の生活基盤を整えること。
その第一歩が「通勤時間を見直す」ことなのです。
転職や働き方を考えるとき、「給料」「仕事内容」だけでなく、通勤時間を幸福度の大きな要因として必ず考慮するようにしましょう。