【令和8年度診療報酬改定】ベッドサイドリハは減算対象になる?わかりやすく解説

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令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション分野でも大きな変更が行われました。

 

その中でも現場への影響が非常に大きいのが、「離床を伴わないリハビリテーションの評価見直し」です。

 

厚生労働省の資料を見ると難しい言葉ばかりですが、一言で言えばベッドの上だけで終わるリハビリばかりでは診療報酬を減らします。という制度です。

 

この記事では、新人理学療法士でも理解できるように、今回の改定内容をできるだけ噛み砕いて解説します。

 

ベッドサイドだけのリハビリは評価されにくくなる

今回の改定で国が伝えたいことは『意味のあるリハビリをしよう』ということ。

例えば

  • ベッド上でROM運動だけ
  • ポジショニングだけ
  • 拘縮予防だけ
  • ベッドサイドで20分マッサージのような介入だけ

これらだけで1日が終わるリハビリは、機能回復に繋がりにくいので減算しますよ、ということ。

つまり、患者を起こして、座らせて、立たせて、歩かせる努力をしてください。というメッセージです。

 

なぜこの改定が行われたの?

この改正の意図はリハビリの原点である『早期離床』です。

患者は寝ているだけでも体力が落ちます。

高齢者であれば、たった数日寝たきりになるだけで

  • 筋力低下
  • 筋萎縮
  • 関節拘縮
  • 心機能の低下
  • 全身持久力の低下
  • 起立性低血圧
  • 深部静脈血栓症(DVT)
  • 呼吸回数の増加
  • 肺炎
  • 皮膚系
  • 床ずれ(褥瘡)
  • 食欲低下
  • 抑うつ状態
  • 認知機能低下

などが急速に進みます。

つまり、ベッド上だけのリハビリでは元気になりにくいということです。

そのため厚生労働省は、できる患者さんは積極的に離床させましょう。という方向へ制度を変更しました。

 

ベッドサイドだけのリハビリはどうなる?

今回新しく追加された内容では、対象患者に対してベッドから一度も離れずにリハビリを行った場合90%の点数になります。

例えば

100点だったリハビリ→90点になります。

つまり10%減算です。

さらに、算定できる単位数も1日2単位までに制限されます。

 

ベッドサイドだけでも減算対象外の患者

今回の改定で減算になるのは、「ベッドから一度も離れず、ポジショニングや拘縮予防などの他動運動だけを行った患者」です。

つまり

  • ベッド上だけ
  • 患者は自分で動かない
  • セラピストが動かすだけ
  • 機能回復やADL練習をしていない

このようなリハビリが対象になります。

それ以外の患者が対象外です。

詳しく解説します。

 

減算されないケース① 外来患者

今回のルールは入院患者だけが対象です。

そのため、外来リハビリや通院リハビリ、訪問リハビリは減算されません。

 

減算されないケース② 患者が自分で動いている

患者自身がが

  • 自分で手足を動かす
  • 起き上がる
  • 座る
  • 立つ
  • 歩く

など、自分で身体を動かす訓練をしていれば、理学療法士がベッドサイドリハをしても減算されません。

 

減算されないケース③ ADL練習や機能訓練をしている

例えば

  • 起き上がり練習
  • 座位保持
  • 車椅子移乗
  • トイレ動作
  • 歩行練習

など、生活動作や機能回復を目的としたリハビリをしているなら減算の対象外です。

 

ベッドサイドだけでも減算されない例外

例外① 急性期の重症患者

次のような患者さんは、ベッド上リハでも減算されません。

  • I救命救急入院料
  • 特定集中治療室管理料(ICU)
  • ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)
  • 脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU)
  • 小児特定集中治療室管理料
  • 新生児特定集中治療室管理料(NICU)
  • 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料
  • 総合周産期特定集中治療室管理料
  • 新生児治療回復室入院医療管理料(GCU)

を算定している患者。

 

また、早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算を算定している患者も対象外です。

つまり、重症患者へのベッドサイドリハは今までどおりの点数で加算されます。

 

例外② 15歳未満の小児

病気のためにベッドから動けない15歳未満の患者も減算されません。

 

例外③ 医師が必要と判断した患者

どうしてもベッドから動けない患者でも、医師が3単位以上のリハビリが必要と判断すれば減算されません。

ただし、この場合は

  • ベッドから動けない理由
  • 長時間リハビリが必要な理由
  • 実施したリハビリ内容

をカルテやレセプトへ記録する必要があります。

 

離床の意味を再確認しよう

今回の改定は、ベッド上で他動運動だけを続けるリハビリは見直しましょうという制度です。

離床させること。

これが我々理学療法士に与えられた使命です。

離床とは

  • ベッドアップ
  • 端座位
  • 車椅子移乗
  • 車椅子座位
  • トイレ移動
  • 立位練習
  • 歩行練習

など、ベッドから身体を起こすこと全般を指します。

つまり、歩けなくても座るだけでも離床です。

廃用症候群を防ぐために、離床はとても大切なリハビリだと言うことを改めて理解してほしいという厚生労働省からのメッセージが、今回の減算なんだと思います。

 

ベッドサイドだけで終わらせるPT・OT・STへ

少し厳しい言い方になりますが、この改定は現場の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士へのメッセージでもあります。

忙しい日はつい

  • ROMだけで終わろう
  • 今日は離床しなくてもいいか
  • 車椅子へ移す時間もない
  • 認知症だから今日はベッド上だけでいいか

と考えてしまうことはないでしょうか。

 

現場ではよく起こることですが、その積み重ねが患者の回復を遅らせてしまう可能性があります。

もちろん、患者の状態によってベッド上でしか介入できない日もあります。

しかし、

  • 本当は座れるのに座らせない
  • 本当は車椅子へ移乗できるのに移乗しない
  • 本当は歩けるのに歩行練習をしない

こうしたやる気のないリハビリは、患者の回復機会を奪ってしまう可能性があります。

今回の改定は、そのような介入を減らし、患者さんの機能回復をより重視する方向へ制度が変わったことを意味しています。

 

一方で、この改定を理由に、無理に離床を進めるのも間違いです。

例えば

  • 血圧が不安定
  • 酸素化が悪い
  • 意識障害が強い
  • 医師から安静指示がある

このような患者さんまで無理に立たせる必要はありません。

大切なのは、離床できる患者さんには積極的に離床を行うというリハビリの方法です。

 

まとめ

令和8年度診療報酬改定では、ベッド上のみで行うリハビリテーションの評価が見直されました。

ポイントを整理すると

  • ベッド上のみのリハビリは原則10%減算
  • 算定は1日2単位まで
  • 急性期重症患者や小児などは対象外
  • 国は「離床を伴うリハビリ」を推進している

この改定のねらいは減算して医療費を減らすことではありません。

患者が一日でも早く起き上がり、動ける身体を取り戻せるように、より質の高いリハビリを提供してほしいというメッセージです。

 

私たち理学療法士も、「とりあえずベッドサイドで終わらせる」のではなく、本当にその患者に必要な介入は何かを改めて考える機会にしたいものです。