令和8年度診療報酬改定で、リハビリテーション実施計画書(リハ実施計画書)のルールが変わります。
厚労省のPDFを参考にしています。
これまで多くの病院では、医師が患者へ説明し、患者や家族から署名をもらうという流れが一般的でした。
しかし、今回の改定では、
「医師以外のPT・OT・STや看護師でも説明可能」
「患者・家族の署名は不要」
という形に見直されました。
新人スタッフからすると、
「え、じゃあ自分が説明するの?」
「署名ってもういらないの?」
「カルテには何を書けばいい?」
と疑問に感じる部分も多いと思います。
この記事では、新人PT・OT・STにもわかるように、今回の改定内容をできるだけシンプルに解説します。
厚労省のこのページの部分です。
現職の人にも役に立つと思います。
リハビリ実施計画書って何?
リハビリ実施計画書とは、患者さんに行うリハビリ内容をまとめた計画表です。
たとえば、
- どんな問題があるか
- どこを目標にするか
- どんなリハビリを行うか
- 今後どう進めるか
を整理して、患者さんや家族に説明するための書類です。
脳卒中、整形外科疾患、廃用症候群、呼吸器疾患など、疾患別リハビリテーションを算定する場合には作成が必要になります。
病院によって運用は違いますが、多くの現場では「リハ計画書」「総合実施計画書」と呼ばれているものです。
なお、原則としてリハビリ開始後7日以内(遅くとも14日以内)に作成する必要があります。
これまでのルール:医師説明+患者署名が基本だった
これまでは、作成した計画書を患者さんや家族へ説明し、署名をもらう運用が一般的でした。
実際にはPT・OT・STが説明する場面もありましたが、制度上は「医師が説明する」前提に近い扱いでした。
また、
- 患者さんが字を書けない
- 家族が遠方に住んでいる
- 対面が難しい
といった場合には、電話やオンラインで説明し、カルテに記録を残せば署名省略も認められていました。
ただ、基本はあくまで「説明+署名」という考え方でした。
令和8年度改定で何が変わる?
今回の改定で大きく変わるポイントは2つです。
ここでは第7部リハビリテーション通則に則って簡単に解説しています。
① PT・OT・STでも説明できるようになった
これまで実際の現場では、患者さんに一番関わっているのはリハスタッフであることが多く、
「実際にはPTが説明している」という病院も少なくありませんでした。(当院もそうです)
今回の改定では、その現場実態に合わせて、医師の指示を受けた以下の職種も説明可能となりました。
- 看護師
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
つまり、新人PT・OT・STでも、今後は計画書説明に関わる可能性があります。
② 患者・家族の署名が不要になった
これまで多くの病院では、説明後に患者さんや家族から署名をもらっていました。
しかし改定後は、「患者等の署名は不要」と明記されました。
つまり、「説明したことをカルテに記録する」ことが重要になります。
今後は、「誰が・いつ・何を説明したか」を診療録にきちんと残すことがより大切になります。
カルテの書き方
今回の改定で署名は不要になりましたが、その代わり「説明した記録」は重要になります。
カルテのobjectiveのところに
『リハビリテーション実施計画書作成済み、担当より説明済み』
などを診療録に記録するといいでしょう。
病院ごとに記録方法は異なるため、まずは院内ルールを確認しておきましょう。
新人スタッフは、先輩がどのように記録しているかを参考にすると安心です。
点数が変わった
令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション総合計画評価料の点数が見直されました。
これまで、リハビリテーション総合計画評価料1は一律300点、評価料2は240点でした。
しかし改定後は、「初回」と「2回目以降」で点数が分かれる仕組みに変更されています。
具体的には、評価料1は初回300点・2回目以降240点、評価料2は初回240点・2回目以降196点となりました。
背景には、初回計画書作成時の負担が大きいことがあります。
初回は、多職種による評価、リハビリ目標の設定、治療方針の共有など、時間と手間がかかるため高く評価されています。
一方、2回目以降は、既存の計画を見直しながら更新する意味合いが強く、初回ほどの業務負担がないと考えられているため、点数が下がる形になりました。
ただし、脳梗塞の再発や新たな疾患発症などでリハビリ起算日が再設定された場合は、再度「初回」として算定可能とされています。
回復期リハ病棟ではルールが少し違う
ここまで読むと、「じゃあ今後はPT・OT・STが説明すればOKなんだ」と思うかもしれません。
ただし、回復期リハビリテーション病棟では例外があります。
回復期リハ病棟入院料を算定している病棟や、特定機能病院のリハビリテーション病棟では、これまで通り医師による説明が必要です。
つまり、「全部PT説明でよくなった」わけではありません。
特に回復期リハ病棟では、退院に向けた集中的なリハビリを行うため、治療方針について医師がしっかり説明する必要があると考えられています。
そのため、勤務先が回復期病棟の場合は、今回の改定でも運用が大きく変わらない可能性があります。
「急性期ではPT説明OKだけど、回復期では医師説明」というように、病棟によってルールが違うこともあるため、まずは職場のルール確認が大切です。
計画書の様式(書類)も変わる
今回の改定では、リハビリ実施計画書の書式も変更されています。
新しい様式では、
- 患者・家族の署名欄が廃止
- リハビリ実施計画書と総合実施計画書が一体化
という変更があります。
ただし、従来の別紙様式21や、それを参考にした書類も引き続き使用できるとされています。
病院によって切り替え時期が異なる可能性があるため、「急に書類が変わっていた」というケースもあるかもしれません。
特に新人スタッフは、先輩に「今の計画書ってどの様式ですか?」と確認しておくと安心です。
現場への影響|新人PT・OT・STは何が変わる?
今回の改定によって、現場の働き方にも少し変化が出そうです。
一番大きな変化は、医師だけでなくPT・OT・STや看護師も計画書の説明を担当できるようになったことです。
これまでは、計画書の説明や署名対応が医師の負担になっている病院も少なくありませんでした。
特にリハビリ患者さんが多い病院では、説明の時間を確保することが難しく、実際にはリハスタッフが内容を補足しているケースもありました。
今回の改定によって、実際に患者さんと関わる機会が多いPT・OT・STが、制度上も説明に関われる形になったと言えます。
また、患者さんや家族から署名をもらう必要がなくなったため、書類管理の負担も少し減ると考えられます。
たとえば、
- 家族が遠方に住んでいる
- 外来でなかなか来院できない
- 署名の回収が遅れる
といったケースでも、以前よりスムーズに運用しやすくなる可能性があります。
一方で、新人PT・OT・STにとっては、「説明する力」がこれまで以上に大切になるとも言えます。
患者さんへ、
- 「なぜこのリハビリを行うのか」
- 「どんな目標を目指すのか」
- 「どのくらいで改善を目指すのか」
をわかりやすく伝える場面が増えるかもしれません。
つまり今回の改定は、単に署名がなくなるだけではなく、リハ職種の役割が少し広がる改定とも考えられます。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、リハビリ実施計画書のルールが変更されました。
特に覚えておきたいポイントは次の2つです。
- PT・OT・STも計画書説明に関われるようになった
- 患者・家族の署名が不要になった
ただし、回復期リハ病棟では引き続き医師説明が必要など、例外もあります。
新人のうちは制度を全部覚えようとしなくても大丈夫です。
まずは、
- 「署名は不要になった」
- 「説明した内容を記録することが大切」
この2つを理解しておけば、現場で混乱しにくくなります。
今後は、患者さんへリハビリの目的や内容をわかりやすく説明する力も、より重要になっていきそうです。
制度改定で「覚えることが多すぎる…」と感じる人へ
診療報酬改定のたびに、現場では新しいルール対応が求められます。
- 「業務量ばかり増える」
- 「教育体制が弱くて不安」
- 「もっと働きやすい職場に行きたい」
と感じているなら、職場環境を見直すタイミングかもしれません。
特に新人〜3年目は、教育体制が整った病院を選ぶだけで成長スピードが大きく変わります。





