理学療法士協会が「登録理学療法士制度」を始めようとして揺れている理学療法士協会ですが、今後の理学療法士協会に未来はあるのかを検証します。
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実際、登録理学療法士の設定などに伴い「今後協会を抜ける人が多くなるのではないか?」という懸念も出ています。
理学療法士協会に加入していくメリットはあるのか?
その一つのポイントが「役員報酬」にあります。
理学療法士協会を1つの企業だと考えると、約12万人もいる理学療法士協会の会長の役員報酬はかなりのものだと推測されますが、果たして…?
理学療法士協会は今後発展していくのか?
私も理学療法士の端くれで、理学療法士協会が推進する「認定理学療法士」「介護予防推進リーダー」を取得しています。
だから理学療法士協会は発展していってほしい!と願いますが、実際どうなんでしょうか。
理学療法士協会の登録者数
2018年の最終決定時
- 日本理学療法士協会の会員登録者数は119,525人です
- 理学療法士免許取得者数は161,476人です
- 会員登録比率は74.0%です
【日本理学療法士協会|統計情報より】
有資格者の74%が入会する理学療法士協会は間違いなく巨大組織として認識することができます。
ちなみに日本看護協会の会員数は2019年現在で745,743人(資格取得者:1,218,606人)であり、入会率は61.1%と理学療法士協会を下回ります。
会員の人数は有資格者の母数が違うので比較はできませんが、入会率から考えると理学療法士協会のほうが高く、今後が期待できるのではないか?(もしくはすでに入会するメリットが多いのではないか)と考えられます。
理学療法士協会の会員特典
理学療法士協会が今後発展するためには、協会の会員にとってよりメリットのある活動や特典を提供していかなければなりません。
- 生涯学習プログラムの実施
- 研修会・講習会への参加
- 専門誌の送付
- 法人会員制クラブ(クラブオフ)の利用
- 会員限定賠償責任保険の利用
- 団体介護保険制度の利用
- 認定理学療法士、登録理学療法士へのスキルアップ
以上の特典が受けられます。
詳しくは入会する?しない?入会10年目のPTが解説!理学療法士協会に毎年2万円払って入るメリットとデメリットとは?>>>をご参照ください。
ちなみに看護協会も特典が多く
- 研修・学会への参加
- 機関紙「協会ニュース」のお届け
- 図書館の利用
- 看護職賠償責任保険制度への任意加入
- 会員マイページ「キャリナース」の利用
- 国際大会への参加
- 福利厚生 ~見舞金や表彰制度も~
- 施設の利用 ~研修室やホールが割引料金で~
- 認定看護師制度
があります。
会員特典ではどちらも同じ感じですね。
このままでは日本理学療法士協会が危ない!
さて、日本理学療法士協会に入会するメリットや協会の会員数をお伝えしてきましたが、実際には協会に入会しなくても理学療法士として働いていけます。
協会に入る必要は今のところ全くないと言っても過言ではありません。
しいていえば会員限定賠償責任保険の利用ができるのが良いところですが、それ以外と特に…と言った所。
協会に入ることで絶対的になにか有利に働くものが無ければいけないと思うんですよね。
- 生涯学習プログラム→クリアしなくても働ける
- 研修会・講習会→PT協会主催じゃないのもたくさんある
- 専門誌の送付→読まない人多い
- クラブオフの利用→知らない人も多い
- 会員限定賠償責任保険→損害保険はいろいろある
- 団体介護保険制度→知らない人も多い
- 認定理学療法士、登録理学療法士→役に立たない
こうしてみると、会員特典なんかなくても別に理学療法士として生活できます。
会員じゃないから給料が下がるという事はないですから。
例えば不動産の【宅建協会】は入会するとレインズというとても便利な不動産検索サイトが使えるらしいんですよね。
そういった「協会に入ると仕事がしやすくなる」仕組みが必要なんじゃないかな?と思います。
理学療法士協会が飛躍するには認定・専門・登録理学療法士の発展を目指す!
日本理学療法士協会が医療系の協会の中で権力を持ち、発展するためには会員を増やし、会員個人が力を持つことで協会自体の力も上がっていくのではないかと考えます。
その為にどうしても必要なのが認定・専門・登録理学療法士の発展です。
理学療法士協会は
将来的には登録理学療法士となることで、登録理学療法士でない会員との差が社会や勤務先での評価に反映されるような制度になることを望んで新制度を構築しています。
と言っています。
これが実現すれば理学療法士協会に入って登録理学療法士にならなければ、評価されにくい!となり、協会の人数も増えます。
そして、理学療法士協会に入会しているスタッフが優先的に採用や登用されることで個々の権力も上がり、結果的に理学療法士協会の地位も上がっていくのではないかと考えられます。
もちろん、専門理学療法士、認定理学療法士には登録理学療法士以上のメリットを与えてほしいですし、そうしないと今の制度のままでは誰も認定試験なんか受けません。
実際に現段階では認定理学療法士を取るより3学会合同呼吸療法認定士を取ったほうが役に立ちますから。
だから理学療法士協会は早急に認定・専門・登録理学療法士の発展を目指すべきで、会員離れが進んでからでは遅いですよね。
理学療法士協会の役員報酬から見る将来像
理学療法士協会の会長の役員報酬は年間1,500万円です。(役員報酬等規定)
これを高いとみるか安いとみるかは自由ですが、12万人の会員を束ねる会長の報酬としてはやや物足りないのかな?と思います。
同じくらいの社員(117,321人)がいる「三菱UFJフィナンシャルグループ」の取締役の年収は6,480万円らしいので、圧倒的に理学療法士協会会長のほうが少ないですよね。
もちろん仕事としての畑は全く違うので比べるものではないのですが、理学療法士のトップともいえる会長がこの年収はヤバいです。
社長(会長)の年収が1500万円で、社員(会員たち)の年収が平均400万円なんですよ。
こんな会社、発展の余地はあまりない気がしませんか?

理学療法士協会が今後発展していくために必要なのは
- 会員のメリットの増加
- 認定資格の整備・発展
- 役員報酬、会員の収入の増加
が必要なのではないかと思います。
理学療法士が政界に進出する例もみられるようになり、今後変わっていく兆しも見えていますが理学療法士全体の復調はまだまだです。
もっと理学療法士という資格をブランド化し、認知度を上げていく必要があると思いますし、我々もスペシャリストとして日々精進していく必要があると思います。


