リハビリが拒否される
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
私は今、理学療法士として10年目ですが、いまだにリハビリ拒否に悩まされています。
正直、リハビリ拒否されると憂鬱ですし、仕事に行きたくなくなります。
リハビリ病院に入院してるのに、なんでリハビリを拒否するの?
だったらこの病院に来なきゃいいのに!
と思う事もしばしば。
でもどんな患者であれ、リハビリをしたい!と思って入院している訳じゃないですよね。
怪我をして、病気になって、仕方なくリハビリをしてるんです。
それに気づいてから、患者とのコミュニケーションの大切さを知るようになりました。
患者と良いコミュニケーションを取っていれば、リハビリ拒否は減っていきます。
拒否されているのは、あなたの患者への接し方が悪いからかもしれません。
そこで、今回はこの記事に書いてあるような『選ばれる理学療法士』になるために拒否されないコミュニケーションの方法をお伝えします。
ここで紹介した方法を実践してから、私も随分とリハビリ拒否がなくなりました。
リハビリ拒否されないための話の聞き方
患者さんは好きで病院に通ったり、入院をしているわけではありません。
なんらかの不幸から、病気や怪我をしている。
それはまったく予期していない、突発的な出来事な訳です。
その為、いままでの日常生活から逸脱している、今まで出来ていたことができなくなるなどの心理的ストレスを抱えている場合が多いです。
それを無視して介入していると「あいつは何もわかってない」「自分の話を聞いてくれない」となり不信感を築き、リハビリ拒否へと繋がります。
まずは患者さんの不安を理解し、安心感のある介入を心がける必要があります。
まずは話の聞き方について考えていきましょう。
話の聞き方で信頼関係が変わる2つの事例
【事例①|Aさんの場合】
Aさんは患者に介入する前に問診に行きました。
患者の正面に座り、下から見上げるようにお伺いを立てます。

いま困っていることはありませんか?
時間は5分程度でしたが、しっかりと目線を合わせたその対応はがっちりと患者さんの信頼感を勝ち取り、スムーズな介入に繋がりました。
その後、一般的な治療法を実践したのですが、みるみる症状が回復(この場合疼痛の軽減)していきました。
うまくコミュニケーションが取れ、リハビリにも良い影響を与えた事例です。
【事例②|Bさんの場合】
Bさんは患者さんを治療しながら問診をしました。

何か困ってることはありますか?(ROM‐exをヨイショ!ヨイショ!)
下肢ストレッチをしながら患者さんの悩みや不安を聞きます。時間にするとかなり長い時間の問診になったと思います。
じっくりと話を重ね、十分な治療法を提案したのですが、うまく患者さんに受け入れてもらうことはできず、たまに拒否されるような日もありました。
コミュニケーションがうまく取れず、リハビリに悪影響を与えた事例です。
AさんとBさんの違いは分かりますか?
どちらかというとBさんは、Aさんより入念にお話を聞いており、コミュニケーションも取れていたように思えます。
治療も細かいところまでプランニングしていました。
患者さんの事をしっかりと考えていたと言えるでしょう。
そこに双方に違いはありません。
しかし、治療効果や患者の受け入れという面では、Aさんの方がすぐれていたのです。

えー!なんで!?

話を聞く時の『姿勢』に違いがあったよね
AさんとBさんの違いは『話を聞く姿勢』にありました。
- 問診するという時間を取って患者に向き合ったAさん
- 治療をしながら効率を考えたBさん
やっていることは同じですが、患者の受け取り方に大きな違いがうまれたのだと解釈できます。
入院したての患者はストレスが溜まっています。
- やりたいことができない
- 自由に動けない
- 相部屋だ
- 家族と離れ離れ
- 食事は満足に摂れない
それに加えてやりたくもないリハビリをやらなければならない。
もう心理状況は最悪ですよ。
だから患者は自分の訴えを聞いてほしがっています。自分の欲求をつたえたかっています。
患者は話を「あなた」に聞いてもらいたがっています。
その話にしっかりと耳を傾けることができてこそ、患者さんに安心感を与え、信頼関係を得られるんです!
リハビリ拒否されないためのコミュニケーション|4つのポイント
コミュニケーションは4つのポイントを抑えていれば、よりよい成果に結びつきます。
話を聞く態度で好印象を与え、第一印象で相手のハートを鷲掴みにしてしまいましょう!
信頼関係を築く接し方①:話を聞く姿勢
話を聞くときに、何か作業をしながら聞いてはいけません。
患者の話を聞くときは、その全ての作業をストップさせたほうが患者さんは「聞いてくれている」と安心するのは当たり前です。
そもそも入院自体が不安なので、その不安を取り除くためにあなたがキチンと話を聞いてあげるべきです。

ながら作業は印象悪!メモを取りながら話を聞くのもNGだよ!
問診の際はメモを取るのは控えます。
覚えて後でメモにしましょう。
信頼関係を築く接し方②:下から見上げるように目を見る
話を聞くときは同等の目線がよいとされますが、患者に対してはひとつ下の位置から見上げるように患者さんを見ましょう。
上から見下ろすと、威圧的になりますし、同じ高さだと面談のようになって患者さんの言いたいことを全て吐き出させるのは難しいです。
あくまで、話していただいているという気持ちで、患者の前にしゃがみ、目線を合わせながら聞きましょう。

目上の人のコミュニケーションの基本だよ!
信頼関係を築く接し方③:話を聞きながら頷く
頷きは、話を聞いていますよ、というアクションです。
何もしないより、相手が頷いてくれたほうが、聞いてもらっているという安心感に繋がります。
ただし、頷きの回数が多いと、適当に流されているような印象を受けますので、ゆっくりと言葉の切れ端に合わせて頷くのがよいです。
どのタイミングがよいかというと、『句読点』の位置がよいと思います。
『、とか。』のところですね。
『、』の所で頷き1回
『。』の所で頷き2回にするとすっごく聞いてる風になります。
ぜひお試しを。

言葉にしないコミュニケーションスキルも超重要!
信頼関係を築く接し方④:患者の言葉を遮らない
患者が話しているときに、つい口を挟みたくなってしまいますが、それはNGです。
患者が全てを話し終わるまで、じっくりと待ちましょう。

『そうですか』『なるほど』などの相槌はOKです。
先ほどの頷きと合わせて『そうですか』『なるほど』を組み合わせると効果は倍増します。
まとめ:接し方でリハビリ拒否されない信頼関係を獲得しよう!
話を聞くことで患者のストレスが軽減し、話をしっかりと聞いてくれたという安心感から信頼関係が生まれます。
その役を医者や看護師に取られるなんてもったいない!
是非、リハビリで獲得してしまいましょう。
信頼関係の構築できる話の聞き方は
- 全ての作業をストップし、話を聞く
- 下から見上げるように相手の目を見る
- 句読点の部分で頷く
- 患者が話してる途中で話を遮らない
このような話の聞き方は信頼関係を高めるのに非常に効果的です。
更に、拒否があったり、リハビリに積極的でない患者さんに対して実践してみるのもいいかもしれません。
実際に私はこの方法でリハビリ拒否をかなり減らすことができていると自負します。
リハ意欲が無いのは、大抵は
となっている場合がとっても多い!
理学療法士は話上手より、聞き上手のほうがいい結果を残せますよ。
そうそう、患者のみならず、友人や異性にも効果的ですのでお試しを。